サッカー豆知識
2018年6月 8日
W杯出場国と比較して見えてきた、日本が強くなるために必要なこと
いよいよ今月、ワールドカップ ロシア大会が開幕します。多くの人が注目するサッカーの祭典ですが、日本の対戦国はすべて格上です。現在の日本のFIFAランキングは61位。セネガルは27位、コロンビア16位、ポーランド8位です。(2018年6月7日時点)。
FIFAランキングがかなり下の日本ですが、サッカーコンサルタントの幸野健一さんによると、FIFA ランキングと競技者人口の比率には大きな関係があるといいます。
(取材・文:鈴木智之)
■前回王者ドイツは20%超え!それに対して日本は...
「2018年5月時点でのFIFA ランキングは、1位ドイツ、2位ブラジル、3位ベルギー、4位ポルトガル、5位アルゼンチン、6位スイス、7位フランス、8位スペイン、9位チリ、10位ポーランドとなっています。ドイツは前回のワールドカップで優勝した国であり、ブラジルは過去最多5回の優勝経験を持っています。ポルトガルは2016年の欧州選手権で優勝しましたし、アルゼンチン、フランス、スペインもワールドカップの優勝経験があります。 FIFA ランキングの10位以内に入っている国は、自他共に認めるサッカー強国と言えるでしょう」
FIFA ランキング上位国の総人口をサッカー競技者人口(各国サッカー協会の加盟登録者人数)で割った、競技者人口比率を参照すると、興味深いデータが浮かび上がってきます。
※FIFA.comの最新ランキングと各国サッカー協会登録の競技人口を比較したもの
「FIFA ランキング1位のドイツは、競技者人口比率が20.21%。つまりドイツ国民の5人に1人がサッカー協会に登録して、サッカーをプレーしている計算になります。この数字は子ども(ジュニア)から大人(シニア)まで含まれているので、文字通り老若男女がサッカーをそれぞれのレベルに合った環境でプレーしているわけです。ドイツのブンデスリーガの観客動員も欧州で一位であり、競技者人口比率も世界で一位。総人口8000万人のうち、1600万人がサッカーの競技者として登録されています。2位ブラジルの1300万人と比べても、飛び抜けて多い数字です。まさにワールドカップ優勝、サッカー世界一にふさわしい国と言えるでしょう」
翻って日本はどうでしょうか。残念なことにFIFAランキングは60位まで下がってしまいました。日本の競技者人口比率は3.8%。人口1億2600万人に対して、480万人ほどが日常的にサッカーをプレーしている計算になります。
「日本は人口が1億人を超えています。サッカー強国では、ブラジルの2億人に次ぐ規模です。しかし競技者人口比率が3.8%と少ない。上位の国の顔ぶれを見る限り、競技者人口比率が6%を超えて初めて、その国のナンバーワンスポーツ、誰もが身近にそのスポーツを楽しんでいると言える環境になります」
■サッカー強豪国になるためにはA代表の強化だけではダメ
ワールドカップで結果を出すためには、その国の A 代表だけを強化すれば良いわけではありません。代表チームとは、その国のサッカー選手の中から選ばれた人達です。1万人の中から11人を選ぶのと、100万人の中から11人を選ぶのとでは、どちらが質の高い選手を選抜できるでしょうか? 分母は大きいに越したことはありません。
「いま日本のサッカーに関わる人達の関心はワールドカップに向いていると思いますが、日本代表は山の頂上の一角にすぎません。山の頂上を支える土台、裾野を広げることが大切なことであって、それがサッカーをプレーする人を増やすこと。つまり日本の競技者人口比率をあげることなんです。そのために何をするべきか。まずは誰でも、どこでもサッカーを楽しむことのできる環境。そして一度始めたサッカーを辞めずに、私のように50歳を越えても毎週末プレーできるような環境づくりが必要です」