サッカー豆知識

2018年6月14日

部活に成績をつけるからサッカーが嫌になる。 楽しんで続けられ、日本が強くなる「最強の強化方法」とは

■スポーツに成績をつけるから部活が楽しくなくなる

スポーツの定義は遊びです。つまり"楽しい"という気持ちが最初に来なければいけません。サッカーだって、子どものときに楽しいと感じたから始めたわけですよね? それが学校と結びついた途端、教育になるので規律や忍耐、努力などが重視され、楽しさが一番上に来ないんです。周りと同じことをしなければいけない、本来は遊びのはずなのに、成績をつけられる。勝つことが最優先になる。それらが楽しさを奪い、スポーツ嫌い、運動嫌いの人を増やしています

(写真はサカイクキャンプ)

昨今、部活動のあり方が見直され、外部コーチの登用地域のスポーツクラブが学校の施設を借りて、スポーツを教えるといった動きが出始めてきてはいますが、そのスピードは遅く、中学、高校では部活動という形態でスポーツをするのが一般的です。

「多くの日本人にとって、小学校の体育がスポーツとの出会いの場になります。でもそれは教育の一貫であって、本来の"遊び"という意味を持つ"スポーツ"との出会いではありません。遊びの楽しさを取り戻し、スポーツの原点に帰るためにも、学校の施設を民間が借り受けて、スポーツを教えるプロが入り、管理運営をする。そして、スポーツを楽しいと感じる人を増やす。楽しいと感じているうちは、スポーツを辞めません。教育的観点から理不尽に怒られたりして、嫌気がさして辞めるわけです」

少子化、人口減少、サッカー以外の娯楽の多様化。サッカー環境、競技力向上のためには、多くのハードルが存在しています。

「サッカーはただ楽しいだけではなく、みんなで協力して物事に取り組むといった、教育的な側面もあります。でもそれはあくまで付随的なものであって、そこがメインになるのは本末転倒です。まずはボールを蹴ることが楽しい、身体を動かすことが楽しいと思える環境を作ることが、サッカーを長く続ける人を増やすことになります。誰もが楽しめる環境を作ることが、最強の強化方法なんです」

幸野健一(こうの・けんいち)

サッカーコンサルタント、アーセナルサッカースクール市川代表
10歳よりサッカーを始め、17歳のときにイングランドにサッカー留学。以後、東京都リーグなどで40年以上にわたり年間50試合、通算2000試合以上プレーし続けている。
日本のサッカーが世界に追いつくためにはどうしたらいいかを考え、育成年代を中心にサッカーに関する課題解決を図るサッカーコンサルタントとして活動中。
2014年4月「アーセナルサッカースクール市川」代表に就任。スクールの運営でも手腕を発揮している。

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