サッカー豆知識

2022年6月13日

川崎フロンターレも実践! ユニフォームの"においと汚れ"をすっきり落とす「洗濯」のコツ

練習着などの洗濯は、サッカーを楽しむ子どものために親ができるサポートのひとつです。たくさん汗をかいてしっかり汚してきた洗濯物は、次に着る時に気持ちよく身につけてもらいたいですね。

そこで、Jリーグ川崎フロンターレでホペイロとして活躍する伊藤浩之さんに、ユニフォームやスパイクの洗濯や手入れのコツを伺いました。

前半では一般的な洗濯術について、後半ではこれからの季節に気になる梅雨時の洗濯についてご紹介します。
(取材・文:小林博子)

 


選手たちのユニフォームやスパイクはホペイロの伊藤さんが準備している©KAWASAKI FRONTALE

 

■サッカー選手を支える「ホペイロ」とはどんな仕事?

今回お話を伺った伊藤 浩之さんの職種は「ホペイロ」。ホペイロはポルトガル語で、日本語に訳すと「用具係」です。

仕事内容は主にユニフォームやスパイクなど試合時に身につける用具の管理や準備、メンテナンスなどを行うことで、選手がサッカーをスムーズにするために重要な役割を担うポジションです。

ちなみに、今回お話をうかがった伊藤さんは1997年のクラブ発足時からホペイロを努める最古参スタッフの一人だそう。近年の川崎フロンターレの躍進を支えています。

 


今回洗濯術を教えてくれたフロンターレのホペイロ、伊藤浩之さん ©KAWASAKI FRONTALE

 

■プロクラブの洗濯方法は家庭でも再現可能なことばかり!

川崎フロンターレで実践している洗濯方法は、聞いてみると家庭でもできることばかりでした。まずは基本の洗濯方法をおさえましょう。

その1)仕分けと部分洗い
数多くの選手の衣類を洗濯するため、まずは色柄物と白物、そしてアイテム別に分けます。その際に1つずつ検品し、目立つ汚れがあった場合は事前に部分的につまみ洗いをしておきます。

その2)使う洗剤は3種類
洗濯機に衣類を投入後、洗剤を入れます。3種類の内訳は
・液体洗濯洗剤
・液体酸素系漂白剤
・柔軟剤(消臭タイプ)
です。

3種類は業務用の特別なものではなく、ドラッグストアで販売しているごく一般的な商品だそうです。酸素系漂白剤は黄ばみ予防やニオイ対策のために使うと教えてくれました。

なお、柔軟剤は衣類の「着心地・履き心地」を良くするために必要なもの。とくにソックスは柔軟剤を使うと使わないとでは大きく差が出てしまうとのことです。ユニフォームもソックスも汗をたっぷり吸収するため、消臭タイプであることもポイントのひとつ。汗による雑菌の繁殖を抑える効果も期待できます。

その3)「汚れ強め」コースで洗濯
川崎フロンターレで使用する洗濯機は業務用のもの。さまざまなコースがある中で普段使っているのは「汚れ落ちコース」です。

家庭用洗濯機にも多彩なコース設定がありますが、同様のコースに該当する「汚れが強めな衣類を洗濯するコース(例:パワフルコース)」を選ぶとよいでしょう。

その4)「乾燥室」に干す
川崎フロンターレでは、クラブハウスをリニューアル後に「乾燥室」が設けられました。それまでは家庭と同じように外干しをしていたそうです。乾燥室では常に空気が循環する空調が設置され、衣類に風が当たるようになっています。

これを家庭で再現するなら、浴室乾燥または部屋干しで扇風機やサーキュレーターの風を当てるという方法だそうです。

 

■しっかり洗い、すっきり乾くためのコツ

ご紹介した4つのフローは、ごく一般的な洗濯方法となんら変わりがないことがわかりますね。そのフローの中にちりばめられたちょっとしたコツがあるそうです。

その1)洗剤類は表示通りの量を厳守
汚れやニオイがひどいときに、洗剤類をたくさん入れてしまうことはありませんか?それはNG!洗剤を使いすぎると衣類に成分が残って衣類を傷めてしまったり、かえってニオイの原因になってしまったりと、いいことはありません。「適正量」を守りましょう。

その2)40度以上のお湯で洗う
フロンターレの洗濯機はお湯で洗うことができ、設定温度は40度。その理由は、雑菌は40度以上で死滅するからだそうです。

家庭用の洗濯機の中には温水が使用可能な物もありますが、まだまだ少数派かもしれません。温水洗浄ができない場合は、予洗い時にお湯でつけおき洗いをすることでも応用できます。

その3)洗濯槽に入れる衣類は「8割まで」
洗濯槽にぎゅうぎゅうに入れて洗濯機をまわしてしまうと、汚れ落ちが悪くなってしまいます。入れる衣類の量は洗濯槽の半分〜8割までを目安にします。

その4)すぐ干す!
脱水までできたら、なるべく早く干すのが重要。濡れたまま洗濯機の中に放置する時間が長くなると、雑菌が繁殖してニオイやカビの原因になってしまうからです。

その5)5cm以上あけて干す
乾きを少しでも早くするためのコツは、衣類同士の干す間隔を開けること。フロンターレの乾燥室では「5cm以上」にしているそうです。

 

サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」

 

■家庭の"ホペイロ業"も楽しんで!

今回はプロが行う洗濯方法をご紹介しました。もしかしたら「目からウロコ」という特別なノウハウはなかったかもしれません。言い換えると、みなさんが普段行っている洗濯が、プロサッカーチームで行われているホペイロさんたちのお仕事の一部とほぼ同じということですね。

子どもたちがサッカーを楽しむために、家庭での洗濯や用具のメンテナンスはとても大切なこと。それを担う親御さんは、子どもの専属ホペイロです。選手の活躍を支える大切な役割です。

後編では、雨の日の洗濯&用具メンテナンスのノウハウを伊藤さんに伺いました。梅雨シーズン真っ只中の今こそ必読です。

 

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