サッカー豆知識
2022年6月17日
濡れたスパイクを素早く乾かす方法! 川崎フロンターレのホペイロ直伝、梅雨どきのスパイクメンテナンス法
じめじめした梅雨シーズンのお悩みのひとつは、雨に濡れたサッカー用具や洗濯物をいかに早く乾かすか、ではないですか。
「翌朝になってもスパイクが乾かず、濡れたスパイクで試合に出場しなくてはならなかった」という経験がある方も多いのでは。
そこで、川崎フロンターレで長年ホペイロ(用具係)を努める伊藤 浩之さんに、梅雨どきの洗濯方法と用具メンテナンス方法を伺いました。
子どもが気持ちよくサッカーをするために心得たいノウハウが満載です。
(取材・文:小林博子)
<<前編:川崎フロンターレも実践! ユニフォームの"においと汚れ"をすっきり落とす「洗濯」のコツ
■洗濯の基本をおさらい
前編では、天候にかかわらずユニフォームやソックスなどの衣類をすっきり洗う洗濯方法を、川崎フロンターレのやり方にそって伺いました。
おさらいをすると、
・洗濯洗剤や柔軟剤は市販のものでOK!規定量を守る
・一度に洗う衣類の量は洗濯槽の8割まで
・40度のお湯で洗うとベター
・パワフルコースなど、汚れ落ちに特化したコースを活用する
・脱水後はすぐ干す。衣類は5cm以上の間隔をあける
などが大切なポイントです。
■川崎フロンターレでは常に「部屋干し」
また、前回の記事でわかるように、フロンターレには「乾燥室」があり、ユニフォームをはじめスパイクなどもすべて部屋干し。施設の都合上そうである事情はありつつも、必ずしも外に干すのがベストとはいいきれないようです。
紫外線の殺菌や消臭効果はもちろん期待したいところですが、紫外線は同時に衣類を傷める要因のひとつでもあります。
それよりも衣類の乾燥に大切なのは「風」。フロンターレの乾燥室は風が循環する仕組みを施し、しっかり乾かしていると伊藤さんは言います。
なお、スパイクなどもこの乾燥室で乾かしているそう。雨の日でもしっかり乾くこの部屋があれば無敵ですが、家庭には当然ありません。プロクラブのような施設がない家庭でできる梅雨の乾燥対策を伺ったのでご紹介します。
■子どもにもできる、スパイクの基本の手入れ法
スパイクは濡れているかどうかにかかわらず、脱いだ後はその日のうちに汚れや芝、泥などを毎回落としておくのがベターです。人工芝やゴムチップなども丁寧に取り除きましょう。これは子どもでも自分でできることなので、習慣化できるといいですね。
サッカー場などに芝やチップを飛ばす「エアクリーナー」が設置されている場合は、それも活用すると良いでしょう。最近では、空気で埃や繊維を飛ばす「エアダスター」と呼ばれる商品も市販されているのでそういったものを活用するのも手です。
「用具を大切にすることはプレーにも良い結果につながります」と、伊藤さん。クラブ創設当時からホペイロを20年以上勤め、その間多くの選手を見てきました。そんな伊藤さんのお言葉に重みを感じます。
■雨で濡れたスパイクを早く乾かす方法
スパイクが雨などで濡れてしまい、翌日も試合で履く予定というケースは梅雨どきに頭を悩ませる困りごとのひとつです。少しでも早くすっきりと乾かす方法はあるのでしょうか。
伊藤さんに伺うと、そのコツは「アイテム使い」にあるようです。スパイクを早く乾かす便利アイテムをご紹介します。
その1)靴乾燥機(シュードライヤー)
家電量販店などで、靴専用の乾燥機が販売されているのをご存じでしょうか。さまざまなメーカーのものがあり、靴2足をさしてスイッチを入れるというもの。
「ヘアドライヤーでいいのでは」と思いがちかもしれませんが、靴乾燥機は出る温風の温度が低めで靴を傷めないところがおすすめの理由だそうです。また、靴をさしてスイッチを入れるだけでいいので、手間がかかりません。
消臭タイプのものや、パパの革靴にも使えるモードがあるものなど、機能はいろいろで、販売価格は3,000円前後となっています。
その2)靴用の乾燥剤
スポーツメーカーなどから販売され、吸湿剤が入っているバッグ状のものがあります。
靴の中にいれておくことで、靴の乾燥を早めるのだそう。昔ながらの「新聞紙を詰めておく」という方法に近い手法ですが、吸湿剤がパワフルに湿気を吸い取ってくれるので新聞紙より時短になります。
吸湿剤の他に消臭剤が入っているものも。販売価格は500円~1500円程度が目安で、繰り返し使えます。
複数個使って靴の中に詰めることで素早く乾くのだそう。子どもでも簡単にできるので、スパイク管理を自分で体験することで、物を大事にすることを身につけさせるのにもお勧めです。
その3)コインランドリー
最近ではコインランドリーに靴専用の乾燥機が置いてあるところもあります。業務用でスピーディーに乾きますので、近くにある場合は利用するのも手です。
■さらに早く乾かすためのひと手間とは?
靴乾燥機やシューズドライヤーを使うとき、さらにひと手間加えることで乾くスピードをアップさせることができます。すぐにできる2つのコツを教えてもらいました。
その1)水分を吸い取ってから乾燥させる
濡れたスパイクやシューズは、雑巾やキッチンペーパーなどで水分をある程度吸い取ってから乾燥させるといいそうです。
衣類のように脱水機にかけられないシューズ類にはこの方法がてきめんに効果を発揮してくれるそうですよ。
その2)中敷は外して乾かす
中敷を外すのも早く乾かすためにできることの一つなのだとか。外したら軽く洗ってから干すことで汚れやニオイ対策にもなるそうです。
■子どもが思いっきりサッカーを楽しむサポートを
サカイクで提唱している「サカイク10箇条」では、「子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えよう」を1項目目に掲げています。私たち親にできることは、それをサポートすること。「洗濯」もその一つといえます。
もちろん、スパイクの日々の手入れや洗濯の手伝いなどは積極的に自分でやってもらうことも大切ですが、特に雨が続く時期の洗濯は難易度が高めなので、大人がノウハウを駆使してサポートしてあげるのがよさそう。
最近では洗浄力の高い洗剤もたくさんありますし、濡れた靴を乾かす便利なアイテムも販売されているので、そういったものも使って親御さんも負担になりすぎないようにしてほしいものです。
そして、子どもにはすっきり清潔な用具を身につけて、気持ちよくサッカーを楽しんでもらいたいですね。