こころ
2010年12月 6日
【第4回】子どものやる気を引き出すために --「自立を促す」
■自立を促す いい質問、悪い質問
子どもたちの潜在的な意欲、能力を最大限に生かし、自立する力を養う「教育コーチング」という考え方。この普及に取り組んでいるのが、日本青少年育成協会です。第四回目のこのコーナーでは、PM級認定トレーナーの本田恵三さんに「効果的な質問の仕方」についてお話を聞いていきます。
「子どものやる気を引き出す"質問"。質問には大きくわけて4つのパターンがあります」
- A.過去についてのポジティブな質問
- B.未来についてのポジティブな質問
- C.過去についてのネガティブな質問
- D.未来についてのネガティブな質問
「ここに挙げた4つの質問のうち、してしまいがちなのがCの"過去についてのネガティブな質問"です。意識しなければ、人間はついついCの質問ばかりをしてしまいます。"なんで負けたの?"や"どうしてあの場面でゴールを決められなかったんだ?"は"過去についてのネガティブな質問"です。
また、Dの"未来についてのネガティブな質問"も同様です。ふがいないプレーを目の当たりにしたとき、子どもに"このままいくとどうなると思う?"と、想像したくもないネガティブな未来を聞こうとします。以前お話ししたように、コーチの役割は、子どもが希望する場所へたどりつくためのサポートです。子どもの行きたい場所がわからなければ、サポートはできません。
それでは、子どもが行きたい場所を聴くために効果的な質問は、4つのパターンのうちどれでしょうか?答えはBの"未来についてのポジティブな質問"です。行きたい場所、なりたい自分がイメージできて、初めてどのような行動を起こせばいいかがわかるからです。Aの"過去についてのポジティブな質問"も、自立をうながす意味では効果的な質問です。
試合でいいプレーをした後に"あのときはどんなイメージでプレーしていたの?"とたずねると"○○のような感じ"と答えが返ってくることでしょう。子どもは大人よりも過去に捉われない生き物です。試合で負けたことなどコロっと忘れ、視線は未来を向いています。それなのに親やコーチが"なんで負けたんだ!"と、ネガティブな過去に引きずり下ろす質問をしてしまうと、逆効果です。
親やコーチは"なんで負けたんだ!"と言うことで反省させ、次に同じことを繰り返さないようにしているのだと思いますが、その行為は本当に効果的でしょうか?質問をするときは、ポジティブな面に光を当ててください。親やコーチなど、子どもを導く役目の人は、それを頭の片隅に入れておいてほしいと思います」
社団法人日本青少年育成協会本部所属。少年サッカー指導歴15年のベテランコーチ。子どもたちのやる気を引き出す理論と手法に定評がある。