こころ

2011年11月16日

メンタルトレーニングコーチ大儀見浩介さんが語る「やる気の高め方」

日本代表の長友佑都選手のパーソナルトレーナー・木場克己氏と、サカイクでもおなじみ、メンタルトレーニング・コンサルタントの大儀見浩介氏が「いま一番受けたい授業 フィジカル×メンタル」と題して行ったコラボセミナー。今回は大儀見さんのお話をお届けします。
 
<<長友選手のトレーナー木場さんが語る「体幹トレーニングのポイント」から読む
 
  
 

■選手のやる気、モチベーションは2種類ある

大儀見さんはサッカーを中心に活動するメンタルトレーニングコーチとして、様々なプロ選手、チームの心理面をサポートしています。その中で、トップレベルになれる選手の心理面と、そうでない選手の心理面には次のような違いがあると言います。
 
「選手のやる気、モチベーションには2つの種類があります。1つが内発的なモチベーション。これはサッカーが好きで、楽しくて、もっとうまくなりたい!というような、内面から湧き出てくるやる気のことです。もう1つが外発的なモチベーションと言って、監督やコーチに「やれ」と言われるからやったり、ご褒美や報酬など、自分以外の外からの刺激によって「やらされている」選手のことを言います」(大儀見さん)
 
トップアスリートの多くが、好き、楽しい、面白いという内発的なモチベーションをもとにサッカーと向き合い、日々のトレーニング、試合に取り組んでいるそうです。そこで「上達するためにはどうすればいいか?」を考え、試行錯誤しながら成長していきます。それはなにもトップアスリートだけでなく、ジュニア年代や中高生でも同様だそうです。
 

■将来の自分の姿をイメージすることが重要

それでは、どうすれば内発的なモチベーション、つまり「やる気」を高めることができるのでしょうか? 大儀見さんは言います。
 
「そのひとつが目標設定です。将来、自分はこうなりたいというイメージを作り、そこへ到達するためのプランを立てます。目標を立てて、自ら進んでやる気持ちを高めることで思考が変わり、行動が変わります。すると、結果も変わっていきます」
 
目標設定のポイントは、将来の自分の姿をイメージすることです。それはつまり、イメージトレーニングでもあります。大儀見さんは選手を指導するときに、イメージトレーニングの重要性をこう説いているそうです。
 
「みなさんは、怖い夢を見て、汗をかいて飛び起きた。あるいは、悲しい夢を見て涙が出たことはありませんか? このように人間の脳は、実際に見たものと自分がイメージしたものとを区別することが苦手なのです。その性質を利用したのがイメージトレーニングです。事前に頭の中でシミュレーションをしておけば、本番のときにパニックになったり、焦る気持ちを抑えることができます。それは、心理的な準備ができているからです」
 
イメージトレーニングは、本番での実力発揮に役立つそうです。また、大儀見さんがサポートしているチームでは、イメージトレーニングの一貫としてサッカーノートを活用していると言います。たとえば、その日の練習で気をつけることやプレーのイメージをイラストで書きます。ノートに書くことによって、頭の中でプレーのイメージを作るそうです。
 
「新しい技術を習得するときにも、すぐにボールを使うのではなく、まずはスローモーションで体の動きをイメージしてみてください。頭の中で自分の動きを再生し、巻戻し、早送り、スローモーションなどのイメージを作ったあとに、実際のスピードでやってみると、技術習得のスピードはアップします」(大儀見さん)
 
 
大儀見さんの講習のあとは、参加者からの質疑応答の時間です。活発に質問が飛び交い、予定していた時間はあっという間に過ぎて行きました。木場、大儀見両氏とも「時間が足りないぐらいでしたね。次も機会があればぜひやりましょう」と意気投合。心と身体のスペシャリスト同士、通じるものがあったようです。
 
心技体という言葉があるように、心と身体は密接に関わっています。「身体を鍛える、治すだけでは駄目。心のケアや声かけでも回復力は変わってくる」と木場さんが語るように、みなさんも両方からのアプローチを心がけてみてください。
 
 
大儀見浩介//
おおぎみ・こうすけ
メンタルトレーニング・コンサルタント。東海大学体育学部にて応用スポーツ心理学を学び、サッカーだけでなく、新体操女子U18日本代表や教育、受験対策など、様々な分野でメンタルトレーニングを指導している。著書に「クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー 世界一わかりやすいメンタルトレーニング」(朝日新聞出版)、「心理戦術が日本サッカーを進化させる」(白夜書房)がある。公式HP『Mentalista
 
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