こころ
2013年10月31日
寝る子は育つ? 牛乳効果ある? 気になる身長について①
「わが子の身長はどこまで伸びるの?」子どもたちの成長はそれぞれ。遺伝的要素もあるし、すぐに身長が伸びる方法なんてない。メッシだって169㎝だし、身長が低くてもサッカーがうまくなれるのはわかっているけど……。
そこまでわかっていても、やっぱり気になる子どもの発育や成長。今回は多くの親御さんが気にする身長にまつわるお話です。
子どもの成長に関するお話は、誰にでも当てはまり、よくわからないことが多いだけに間違った情報が広まってしまっているのも事実。子どもたちのために正しい情報を知ってほしいという思いから、成長を司る成長ホルモン、小児内分泌の専門家「たなか成長クリニック」の田中敏章先生にお話をお聞きしました。
■身長を伸ばす方法に魔法はナシ?
方法やその是非はわからなくても、世のお母さんたちが一番聞きたいことは、身長を伸ばす方法ではないでしょうか?
田中先生、どうしたら身長が伸ばせますか? 単刀直入な質問に先生は笑って答えます。
「普通の生活を心がけることです」
長年の研究で子どもの成長に関するメカニズムは解明されつつあります。田中先生によると、私たちが「背が伸びる方法」だと考えてきたものの多くは、医学的根拠のない「勘違い」である場合が多いというのです。
うーん、お父さんや、お母さんの身長は今さら変えられない。遺伝はどうにもならないのはわかりますが、環境を変えることで少しでも背が伸びないの?「納得いかない」というみなさんの声が聞こえてきそうですが、まさに環境の部分で成長が変わるからこそ、田中先生は「普通の生活が一番」だと言うのです。
「遺伝がコントロールできないのはみなさんもおわかりだと思いますが、成長に大きく関わるもうひとつの要素である“栄養”についても、沢山食べたから、特定の栄養素を多く摂ったからと言って身長が高くなるわけではないのです」
身長の高低、つまり身体が大きいか小さいかを左右する栄養というのは、生まれてから3歳から4歳くらいまでの栄養状態。そのときに沢山食べる子は大きくなる可能性が高いし、食が細い子はあまり身長が伸びない傾向にあります。
「これは食べない子に無理に沢山食べさせられるものではありませんし、個人差レベルの話ですから栄養に問題があるわけでもありません」
生まれてきたときに約50cmだった赤ちゃんは1歳になると約75cm、2歳で約85cm、3歳で約93cm、4歳になる頃には約100cmになります。これは平均値ですが、後にこの平均値が重要になります。4歳を越えると思春期が始まるまでは、男女ともに年間約5~6cm身長が伸びていきます。4歳から思春期までの期間(前思春期)は主に成長ホルモンが身長を伸ばします。
「この時期こそ、早く寝て、よく眠り、早く起きて朝ご飯をしっかり食べる“普通の生活”が大切なんです」
残念ながらその子どもにとっての適性成長の枠を飛び越えて背を伸ばす魔法はありませんが、伸びるべき時に背が伸びないことはあり得ます。身長の伸びを邪魔しているものは何か? それさえわかれば、わが子の身長が伸びるべき時にしっかり伸ばしてあげることができるのです。