こころ

2014年9月12日

人の手が障がい者の「自動ドア」になるバルセロナ

9月6日、日本サッカーミュージアム・ヴァーチャルスタジアムで、『JFAリスペクト・フェアプレーデイズ2014差別、暴力のない世界を!』シンポジウムが開催されました。日本でも差別に関わる問題がスタジアムで起き、あらためて差別や暴力について考えさせられた今年、すべての差別、暴力を根絶するためにサッカーは何をすべきなのか。フェアプレーデイズを通じて子どもたちに教えたい『リスペクト』『フェアプレー』について、シンポジウムでのお話を一部紹介しながら考えていきましょう。

 
取材・文 大塚一樹 写真 サカイク編集部
 

■他人ごとではない サッカーで差別、暴力のない世界を

いよいよアギーレ監督の下、新体制の日本代表が動き出しました。5日はウルグアイ、9日にはベネズエラと対戦した我らが日本代表ですが、この試合はサッカーをプレーする子どもたち、指導者保護者、そしてサッカーファン、サッカーに関わるすべての人たちにとって大切なメッセージが込められた試合でもありました。
 
日本サッカー協会は9月5日から14日までを「JFAリスペクト・フェアプレーデイズ2014差別、暴力のない世界を!」として、サッカーにおける、差別や暴力の根絶を訴えます。試合前に日本代表のキャプテンを務める本田圭佑選手、ウルグアイ、ベネズエラ両キャプテンから差別や暴力に反対する宣言が行われたのを目にした人もいるはずです。また両チームのユニホームの袖には「RT(Respect)」の文字が。JFAとJリーグが取り組んでいる『リスペクトプロジェクト』(改めてリスペクトプロジェクトについても学んでおきましょう)のロゴマークがつけられていました。
 
世界中で普及し、人々を熱狂の渦に巻き込むサッカーの影響力は計り知れないものがあります。スタジアム内外で起きる不幸な事件やさまざまな問題を解決していくことは、サッカーというスポーツが社会に負うべき責任と言っていいのかもしれません。
 
この期間は男女代表戦だけでなく、Jリーグ、Fリーグ、各種連盟、各都道府県サッカー協会主催大会などでの活動で両チームキャプテンによる差別、暴力根絶宣言が行われます。練習試合、トレーニング前であっても、みなさんのチームで同様の取り組み、子どもたちと話し合う機会が持てれば、この活動はさらに意義深いものになるはずです。
 

■差別は遠い国の話ではない

シンポジウムではまずJFAの大仁邦彌会長から差別、暴力根絶に対する宣言が行われました。差別、暴力というと遠い外国のスタジアムを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、Jリーグでも浦和レッズサポーターが「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕を掲げた問題や、横浜F・マリノス対川崎フロンターレ戦でサポーターがバナナを掲げる挑発行為をした問題は記憶に新しいところです。
 
この問題については基調講演「Jリーグの取り組み、姿勢について」としてJリーグ・大河正明常務理事から経緯と対応について、今後の解決策についてお話がありました。
 
 
みなさんは「差別」や「人権」についてお子さんと話をしたことがあるでしょうか。
 
「子どもと話すどころか、自分でも意識したことがない」という人も多いのかもしれません。
 
大河常務理事や、シンポジウムに参加した多くの人たちが「日本では差別への意識が低い」と言う主旨の発言をしています。
 
地理的、歴史的環境から普段の生活で差別をあまり意識することがないと言われる日本人ですが、だからこそ見つめ直すべき点があるのではないでしょうか。
 
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