こころ
2015年10月15日
子どもが成長する、ほんの些細なきっかけの与え方
子どもが大きくなって社会に出るころ、親であるわたしたちは年老いて力になってあげることができないかもしれない。だからこそ、ひとりで生きていけるような自立した大人になってほしい。
ところが、自分の子どもをみていると先が思いやられるような行動ばかりが目についてしまう。
サカイク読者のなかにも、そんなふうに思う人は少なくないはずです。では、どうすれば自立した子どもを育てることができるのでしょうか。
そのヒントは、サカイクキャンプ参加者のお父さんの声に隠されているのかもしれません。(取材・文 出川啓太[サカイク編集部])
■引っ込み思案になってしまった息子を変えたかった
「もともとは積極的にコミュニケーションを図り、周囲の友だちをリードしていくような子だったんです。ところが小学校に入学すると、周りにやんちゃな子どもが増え、仲間外れにされるようなこともあったようで、引っ込み思案な性格になってしまいました」
そう打ち明けてくれたのは、昨年からサカイクキャンプに3度も参加してくれている小学4年生の男の子を持つお父さん。子どもの消極的な性格はサッカーのプレーにも表れるそうです。優しい性格で相手の気持ちになってものごとを考えることができる子。もっと自信を持っていいのになかなかそれができないわが子を見ていると、なにもしてあげられないことが歯がゆかった。
「出過ぎる杭は打たれる。小学校でそれを肌で感じ、出過ぎないようにしているように見えます。そんな息子を元の姿に戻すきっかけになればと思い、昨年の夏、大阪堺市のJグリーンで行われるサカイクキャンプに、はじめて息子を参加させました。普段とはちがう環境を体験してみることが息子にとって大切だと思ったんです」
ところが、普段通っているチームでもうまくチームに溶け込めていない子が、顔見知りのいないサカイクキャンプでいきなり積極的になれるとは考えにくい。案の定、トレーニングで二人組にならないといけない場面でも、なかなか周りの子に声をかけることができませんでした。
「ひとりでぽつんとおった。サカイクキャンプに参加しても、なかなか息子の消極的な姿勢は直らなかった」とお父さんは振り返ります。
「もちろんそんなに急に成長しないことはわかってます。それでも、高峯ヘッドコーチや他のコーチたちがみせる子どもたちへの接し方や、練習終了後に送られてくる報告メールを見ていると、サカイクキャンプに参加させていることは間違いじゃないなと思えたんです」
そして今年の夏、3度目の参加となるサカイクキャンプで、ようやくわが子に変化の兆しを見たそうです。
「練習中、おなじグループの子たちに、積極的に話しかけている息子の姿がありました。プレーを見ていても、まあ相変わらず下手くそですけど、積極的にボールに関与しようとしている様子は伺えました。あっ、ちょっと変わったんじゃないかな、と思えました。継続して参加させていてよかったなと」
■息子さんを変えたサカイクコーチのささやかなひと言
息子さんはどうして変わることができたのでしょう。お父さんは次のように話してくれました。
「息子に話を聞くと、5年生として同じ部屋の4年生を引っ張っていくように、どうやらコーチが促してくれたようなんです。『○○くんは、何度か参加していてわかっているし年上なんだから、同じ部屋の子たちにいろいろと教えてあげてな』と。どうも、それが息子にとっての変わるきっかけになったようです。それと同じ部屋の子が『この部屋はみんな友だちやで』と言ってくれたことも、プラスに作用したみたいです」
変わった息子さんをサカイクコーチ陣はどのように見ていたのでしょうか? 高峯ヘッドコーチは言います。
「2日目から、急に性格が変わったように同じグループの仲間とコミュニケーションをとるようになりました。これまでは、練習中に二人組も組めないほど消極的だった子が、休憩中もずっとゴール前で仲間と遊んでいました」
変化はプレーにも表れたと高峯コーチは続けます。
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