こころ
2015年12月22日
子どもの「どうすればいい?」に「こうしなさい」と答えてはいけない理由
京都サンガF.C.が行う地域貢献活動の一つである『サンガつながり隊』。『サンガつながり隊』として、京都府下の幼稚園、小学校を巡り、年間2万人の児童と直接ふれあい、指導する福中善久さんに最近の子どもに多くみられる、よくない傾向とその解決策について聞いてみました。(取材・文 中野里美 写真提供 京都サンガF.C)
■「どうすればいい?」には「どうすればいいと思う?」と返してみよう
活動を行う中で、「『どうしたらいい?』ってすぐに聞いてくる子どもが多いように感じます。そういう時はまず「どうしたらいいと思う?」と聞き返すようにしています。そしたら考えてみようと思うじゃないですか。最近の子どもは、すぐに答えを求めたがる傾向にあります。でも、そこで答えを教えると自分で考えようとしなくなってしまうんです。教えすぎない、答えを見せないということが大切なんじゃないかと思います」と福中さん。
「いま多いのが、サッカーをしに来ている子に、『なんでサッカークラブに入ったの?』と聞くと、『わからない』、『お母さんに行けと言われたから』と答える子が多いんです」と福中さんは続けます。そして、そういう子どもは、「何のためにしているの?」と聞いても答えられないんだそうです。
「サッカーに限らずなんでもそうだと思うんですけど、自分のことと捉えるから、自分で考えるようになるんですよね。やらされているとか、他人事のような感覚でいると、自分で考えようという気が起こらない。自分のためにしているということを認識する、自覚する必要があると思います」
■自分で選ばせる、決めさせることが有効
分のことと自覚させる方法の一つとして、「自分で選ばせる」「自分で決めさせる」ことが有効だと福中さんは言います。
「ある教育プランのなかには、自分で参加の度合いと方法を選ぶことができる手法があります。自分で決めたり、自分で選ぶことによって、人のせいにしなくなります。自分で決めたんですから。そうすることによって、自分事と捉えて、自分で考えるようになっていくと思います。実際、つながり隊で行うプログラムも最低限のやり方だけを提示して、あとは自由に自分たちでルールを決めるものが多いんです。普段から自分で選ばせてあげる、子どもが選べる環境づくりが大切なのではないかと思います」
■答えを教えるのではなく、選択肢を与えて選ばせてあげる
習い事から、その日の服のコーディネートと、親の思いや趣味、嗜好を押し付けてはいませんか? 自分で決めさせていたら時間がかかるからと、なんでもかんでもあなたが決めてはいませんか? 子どもにゼロの状態から考えさせたり、決めさせるのが難しそうであれば、いくつかの選択肢を与えてあげて、そこから選ばせてあげる工夫をすることも親の大事な役目です。
日本の教育のあり方について、福中さんはこう提言します。「日本の教育って〇と×の2つしか選択肢のない勉強が多いように感じます。テストをしても◯と×だけでの評価になりますよね。でも、スポーツや人生は◯と×だけじゃないです。これだけが正しいなんて答えはないじゃないですか。答えにたどり着くいろいろな選択肢がある場合もあります。そこを示してあげるのが大人の役目だとも思いますし、そこを崩すためにつながり隊の活動をしているんです」
人と違うことをすると恥ずかしいという感情は、大人同士でもありますよね、変な目で見られてしまう感覚。しかし、その大人の意識こそが子どもの自主性を阻む一因なのかもしれません。みんなと一緒じゃないとダメ、人と違うことは×というイメージを知らず知らずに植え付けることで、子どもが自ら選択し、行動に移すということができなくなっている。「人と違っていいんだよ」と大人が自ら示す勇気が必要ですね。
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