こころ

2016年4月20日

「コーチや周りの人たちが育ててくれる、親の役目はその環境をつくること」あの一流アスリートたちの育てかた

親とコーチというふたつの立場で子どもと接する葛藤を語ってくれた杉山愛選手の母・芙沙子さん
 

■「小学生のころにできたのは、彼女に寄り添うこと」杉山愛選手の母の場合

テニス界のレジェンド・杉山愛選手。日本人として、初となるWTAダブルス世界ランキングで1位を獲得。グランドスラムで2冠を達成し、グランドスラムシングルス連続出場のギネス記録を保持するなど、多くのタイトルを獲得してきました。
 
杉山愛選手の母・芙沙子さんは2001年から引退までの9年間、『チーム愛』のディレクター兼コーチとして、親子ながら、コーチと選手の関係性で過ごしてきました。親と子、コーチと選手の関係性において、根底に流れるのは「子ども(選手)の成長をサポートする」という気持ちです。しかし、役割が変わればアプローチも異なります。芙沙子さんは「親としては結果に関わらず、がんばったプロセスをほめてあげたいもの。でもコーチとしては、プロセスをほめるだけでなく結果にもこだわりながら、(結果が)いいときもわるいときもがんばらなくてはいけなかった」と、わが子のコーチとして歩んだ9年間を振り返ります。
 
そんな中、親としてできたことを次のように話してくれました。
 
「愛が小学生のころにできたのは、彼女に寄り添うこと。私は『健康でコートに立つ』という理念を持っていて、愛にもそれを忘れてはいけないと言っていました。たとえ結果がついてこないときでも、コートに立てる幸せを忘れてはいけない、そう思って親として接してきました」
 
親子の形、考え方は家庭の数だけさまざまです。この3人に共通しているのは、人間的な成長を考えて、子どもたちと接したことではないでしょうか。人としての土台があって、アスリートとして成長していく。オリンピックや世界大会でタイトルを獲る選手は、心技体のバランスが優れていると言われていますが、成長するための土台をつくる小学生のころに、親から多くの愛情とサポートを受けたようです。次回の記事では「親子のコミュニケーション」について、3人の体験談を紹介します。
 

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