こころ
2017年1月23日
モンスターペアレンツから、子どもに寄り添う「エンジェルペアレンツ」になろう
オリンピアンやパラリンピアンなどトップアスリートを育てた親が子育ての極意を伝授してくれる「ジャパンアスリートペアレンツアカデミー(JAPA)」。元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんを育てた杉山芙沙子さんのセミナーに参加させていただきお話しを聞きました。時に母と子、時にコーチと選手として寄り添ってきた芙沙子さん。親がコーチになることはとても大変なので「決してすすめません」とおっしゃる杉山家の子育てとは。(文:前田陽子)
■子どもは社会からの預かりもの
2000年の夏、彼女がダブルスで世界ランク1位、シングルスでも世界ランク30位前後(杉山愛さんの最高ランクは世界8位)の時でした。その年は14の大会で決勝に行き、9つの大会で優勝を果たすなど、成績は良く、来る日も来る日も勝てる、楽しいテニスをしているとばかり思っていた時に、アメリカからの電話をしてきた彼女は「テニスをしてても楽しくない」と言ったのです。
私はアメリカに行き、彼女と話し合いました。彼女の虚しさはどこから来るのか。話し合うなかでテニスをやりきったのと聞くと、「やり切ってない」という返事がすぐに返ってきました。このまま辞めてしまったら、新しい仕事、新しい何かに着手しても、嫌になったからやめる、虚しいからやめる、つまらないからやめると同じことの繰り返しになると思い、彼女がテニスをやり切ったと言えるようサポートするために、コーチとして帯同することにしました。
コーチと選手であり、母と子という関係は思った以上に大変でした。親子であれば、どんな結果が出ても抱きしめ、応援していれば良いですが、コーチとなるとどんなに疲れているときでも、試合に備えさせなければなりません。それはとても大変な作業で、心の葛藤は何年も続きました。
子どもがトップアスリートであっても、アスリートでなくても、子どもとの距離感で悩むことは多いと思います。そんなとき私、「どんな親子関係になりたいかをイメージする」ことをおすすめしています。そのためには、自分が何を考え、何を思っているのか、子どもが何を考え、何を思っているのかを知る必要があります。
この時に気を付けたいのが「私の子」「うちの子」という考え方です。お母さんのおなかから出てきたときから、子どもは社会の一員です。縁あってその家庭に生まれ、その家庭の教育方針で育っていく。子どもを社会にお返しして、子どもが社会に役立つ人として育っていくことをサポートすることが親のミッションだと考え、子育てしてきました。
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