こころ
2017年1月31日
子どもは親の背中を見て育つ。3人のプロサッカー選手を育てた永里家の教えとは?
前回に続き、オリンピアンやパラリンピアンなどトップアスリートを育てた親が子育ての極意を伝授してくれる「ジャパンアスリートペアレンツアカデミー(JAPA)」に参加させていただき、永里源気選手(タイリーグ所属)、優季選手(なでしこ日本代表)、亜紗乃さん(元なでしこ日本代表)というお子様3人全員をプロサッカー選手に導いた永里正彦さんのお話を聞きました。(文:前田陽子)
■子どもとの結びつきを考える
私の母親は過干渉でした。干渉されたくないと思いながら育ったので、私は子どもたちには干渉し過ぎないようにしました。でも、人によっては過干渉な親に育てられたことで、自分の子どもに干渉しすぎてしまうこともあります。自分の親からされた同じことを、子どもにしてしまう。ですから、自分の親がどういう風に自分に接していたのかは、振り返ってみるといいと思います。それを理解した上で、子どもにどう言葉をかけ、どういう風に行動するのがいいか考え、実行します。
反面教師という言葉があるように、自分がされて嫌なことはしたくないですよね。それは親子間も夫婦間も同じです。夫婦も人生観、価値観も違って、理念も違うのでそこでそれらの人たちとの結びつきを考えるべきだと考えています。
私たち夫婦はお互いにスポーツをやっていたので、同じ人生観、価値観で子育てをしてきました。そこは一致していたんですね。今になって「こんな考え方だったのか」ということはたくさんあります。でも当時は子育てに専念していたので、子育てに必要なことだけを考えて、他はそぎ落としていました。
子どもが小学生のころ、サッカーチームでカラオケに行きました。我が家の消灯は9時30分。とても盛り上がり、このままお店にいたら9時30分になってしまうということがありました。年に1回か2回なので、今日くらいはいいかなということも頭をよぎりましたが、家族で決めたことだからと帰りました。子どもたちもそのまま残りたかったと思います。しかし、高いレベルでプレーしたいならみんなと同じでは済まされないことがたくさんあります。
子どもたちも自分と親、自分と仲間との結びつきで葛藤していたでしょうね。でも、家族で決めたこと、その結びつきを大切にすることを納得してくれたと思います。自分でこれだと思ったこと以外はそぎ落とす。私たち家族はいろいろな場面でいろいろな人と、どう結びついているのかを考えることをとても大事にしていました。
■親の思いを伝える
思いを伝えるということはとても大切です。そしてその方法は、言葉で伝えると行動で伝えるのと二通りあると思います。我が家では言葉で伝えるために家訓を作り、紙に書いて冷蔵庫に貼りました。「精力善用」「自他共栄」この2つが我が家の家訓です。
後は行動です。親の背中を見て子は育つというので、一切手を抜かないように自分を律していきました。タバコを止めたり、だらしなくないように家の中を整理整頓したりしました。彼らにどう伝わったかはわかりませんが、自分がやれていると思えることも重要ですよね。
また、私たちは子どもにがみがみ言うことはしませんでした。ただ、やるべき事をやっているかやっていないかだけを聞きました。やっていなかったときは「どうするの?」と聞くことはあっても、叱ることもしませんでした。やらなかったらやめてしまえばと。冷たい親だったと思います。ですから、よくサッカーを続けてくれたなと思います。
なぜ子どもに厳しくできたのかというと、娘たちが3歳からお世話になっていたピアノの先生からの言葉があったからです。先生から「親が真剣にならなくて、子どもがピアノを弾けるようになるわけないでしょ」と私たち夫婦は叱られたのです。ですから、子どもに親としての思いを言葉でも、行動でも伝えることを以降続けてきました。
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