こころ
2017年6月28日
サッカーの楽しさを親も知ろう! まずは自分で蹴って、体感してみること
前回は、「サカイク10か条」を踏まえて、子ども自身の、「サッカーをやりたい」という声に耳を傾けることこそ、保護者が肝に命じておくべきだと伝えました。でもその前に、もっとできることがあります。
それは保護者自身が、「サッカーの楽しさ」を伝えることです。自分に楽しいと思う気持ちがなければ、それを子どもに伝えることはできません。子どもの将来を考える保護者にとって、サッカーの本質的な楽しさを知ることこそ、第一歩ではないでしょうか。
公益財団法人東京都サッカー協会では、子どもだけでなく保護者もボールを蹴る楽しさを体験できるイベントを開催しているそうです。協会のキッズプロジェクトリーダーを務める藤村孝幸さんに、その取り組みについてお話を伺いました。(取材・文:本田好伸)
(C)allsports.jp
■子どもとの関わり合いを考えるキッズリーダー
サッカーには、すべてのスポーツに共通する「楽しさ」があります。体を動かすこと、上手くなること、ゴールを決めること、仲間と喜びを共有すること。そういう感覚があるからこそ、子どもはサッカーを続けていけるのです。「子どもたち、特に小学生キッズ年代を見ていると、本当に驚かされる。そこにはまさに、サッカーの原点があるから」と藤村さんは目を細めます。
日本のサッカーシーンでは今、アルベルト・ザッケローニ前日本代表監督が発した「インテンシティ」や、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督が発した「デュエル」というキーワードが主流になっています。これらの言葉の定義が日本に浸透しているかどうかは別の話として、少なくともキッズ年代には、それがあると藤村さんは言います。
ただ純粋にボールを蹴り出し、奪いに走り、ゴールを目指す姿は、サッカーの本質的な姿です。でも、子どもたちは、技術や戦術を学び、仲間や相手との関係性を知り、経験値を高めていく中で、いつしか心の奥底にそういう本質的なものをしまってしまうのです。
もし子どもが、純粋にプレーを楽しむ「サッカーの本質的な姿」を忘れることなく大人になれたら──。もしかしたら、世界中を興奮させるスーパースターにだってなれるかもしれない。そんな無限の可能性を持つ子どもと、親はどう向き合えばよいのでしょうか。
そのヒントは、まさしくキッズ年代にあります。
(C)allsports.jp
東京都サッカー協会(東京FA)では、キッズ(U-6)サッカーフェスティバルや、グラスルーツフェスティバルといった、キッズ年代に向けたイベントと、保育園や幼稚園への巡回指導に加えて、キッズリーダー講習会という3本の柱を軸に活動しています。
イベントや巡回指導はもちろん、子どもにきっかけを提供する「出会いの創出」が一番の目的ですが、保護者の参加を促すことも多いのだそうです。
藤村さんは、「子どもが心からサッカーを楽しめることを、大人が考えて、関わっていくことでより良いものになっていきます。そういう、親の良い接し方を体験した子どもが、また次の世代の子どもに良いアプローチをしていきますから」と、子どもに関わる大人の重要性を話します。
キッズリーダーとは、日本サッカー協会が主催する、公認ライセンスの一つで、講義が1時間半、実技が1時間半のコンパクトなカリキュラムが組まれ、受講を終えれば修了認定されます。受講年度の4月1日において満16歳以上であれば、誰でも受けることができるライセンスです。
U-6、U-8、U-10の3カテゴリーに分かれ、発育や発達、食事、メディカル面など、異なる特徴を持つ子どもの年齢に応じた理解を深められます。「子どもの特徴を保護者やコーチに伝えて、子どもと関わった時に、理解して対応できることを目指しています」と藤村さんが語るように、他のライセンス以上に子どもとの関わり合いが重視されています。
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!