こころ
2017年7月14日
小さな成功体験を積むことが自信につながる! 自主性・主体性を育てる「しつもん」のしかた
「自信をもってサッカーをしてほしい」
サカイク読者から寄せられるご意見には、こんな願いが多く見られます。自信は好パフォーマンスを生む要素のひとつであり、サッカーを楽しんでプレーするという部分にもつながっていきます。逆に自信がなければ、思い切ったプレーができず、サッカーそのものが嫌いになっていく可能性もあるでしょう。
では、自信を付けさせるためには、どのようなアプローチや方法論があるのでしょうか。メンタルトレーニングコーチとして多くのアスリート、チームに携わる『株式会社メンタリスタ』代表取締役の大儀見浩介さんに、話を伺いました。(取材・文:原山裕平)
■自信につながる成功体験とは?
まず大儀見さんは前提として、自信は成功体験を重ねるなかで身に付いていくものだと述べます。ただし、その成功体験のすべてが自信につながるわけではありません。成功体験には2つの種類があり、その違いが自信につながるか、そうではないかの分岐点になると言うのです。
「簡単に言えば、課題を与えられてやったことができたのか、自分で進んでやったことができたかの違いです。両方とも成功体験ではありますが、与えられた課題に自分から取り組んでできたというのは、ただほっとするだけ。それに対して自分から『やってみよう』と思ったことができた時には成功体験が大きくなる。つまり、主体的に動いてできたことこそが、自信へとつながるわけです」
与えられた課題に取り組むという外発的なやる気ではなく、自ら課題に気づき挑戦しようという内発的なやる気を導き出すことが、自信を得るための近道となるのです。では、子どもたちの内発的なやる気を促すには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。
「大切なのは仮説を持たせること。『これをやって』ではなく、『これをやれば、どうなると思う?』という投げかけですね。そのうえで取り組めば、『どうなるんだろう?』という答えを模索しながら、成功体験に向かうことになります。そうなると、できたときの喜びが大きくなるわけですね」
大儀見さんによれば、自信の構成要素は以下の3つに分類されます。
1.結果・勝利・高評価
2.「心・技・体」それぞれの能力・長所・武器
3.トレーニング時間・家庭生活・日常生活・努力・工夫・気づき
そしてより求められるのは、2と3になります。
「Jリーガーにもいますが、結果からしか自信をつけられないと、周りと比べるようになってしまうんです。調子がいい時は自信に漲っていますが、スタメンンから外されりとか、点を取れなかったとか、結果が悪いと自信も一緒に低下して、パフォーマンスが落ちたりする。自信が揺らいでしまうわけですね」
■「フィードフォワード」が大事
しかし、2と3から得られた自信は、簡単に崩れるものではありません。
「このふたつは自分自身の準備からくる自信なんですね。子どもの試合を見ていると、ミスをしたとたんに急にシュンとなってプレーの質が落ちたりすることがよくあると思います。それはミスしたことによって、結果による自信がなくなるんですよ。普段も結果や勝利、プレーに対する高評価からしか自信を得られていないため、ミスした瞬間に、『どうしよう、評価が下がってしまう』と考えてしまうんです。でも、実際にはミスをしても培ってきた技術の質が落ちるわけではありません。だからこそ、準備からくる自信を構築することが大切になってくるのです」
長所・武器を活かすことと努力や工夫の要素を重視するには、指導者、保護者の声かけやサポート、褒め方を含めたフィードバックが大事になると大儀見さんは言います。ただ、そのフィードバックには、しっかりとしたフィードフォワード(事前の予測・イメージ・目標設定や仮説へチャレンジする気持ち)がなければいけません。
「フィードバックは終わった後の声かけですね。つまり、でできたか、できていないかを示すもの。それだとあまり意味がありません。フィードバックする前段階として、フィードフォワードが求められます。大切なのはチャンレンジや、気づきを見出してもらうこと。そういったフィードフォワードがあれば、フィードバックはできたかできなかったという結果に対してのものではなくて、なにが良くて、何がダメだったのかということを、子どもたちと一緒に探ることができる。そして、そのチャレンジや努力のプロセスを、褒めることができるんです」
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