こころ

2017年9月15日

楽しんで続ける土台を築くために、ゴールデンエイジまでにどんな接し方をすればいいの?

日本サッカー協会(以降JFA)の指導者ライセンスには、プロ選手の指導ができると同時 に、日本の指導者のリーダーとなる人材を育成することを目的としたS級を頂点に、A・B・C・D級とあります。JFAに4種(小学生チーム・選手)の登録を行う際は、D級ライセンス以上の有資格者がチームに1人は必要です。
 
JFA の指導者ライセンスにはS~D 級の他に「キッズリーダー」があります。
 
「キッズリーダー」とは10歳以下の選手、子どもたちに関わる「体を動かすことの楽しさを伝える」大人の理解者を増やすものですが、ここで学ぶ初めてサッカーをする子どもたちへの接し方を座学と実技で学ぶ内容は、ジュニア世代の心身への理解を深め、親子の付き合い方にも参考になることが満載です。(取材・文:前田陽子)
 
 

■サッカーを好きになってもらうことが一番

キッズリーダーにはU-6、U-8、U-10 の3 つのカテゴリーがあり、それぞれに講習会を行っています。今回は公益財団法人東京都サッカー協会が開催した公認キッズリーダー養成講習会にて講師を務めた、FC東京のグラスルーツコーディネーターでもある「くじらコーチ」こと鯨井健太コーチにお話しをうかがいました。
 
JFAでは2002 年のW 杯を経て、日本サッカーを発展させるためには土台の充実が大事だとして、幼児年代からの普及・育成体制を整えるためにキッズプログラムの強化に取り組みました。そのひとつがキッズリーダー養成講習会です。初めてボールを蹴る、サッカーと出会う子どもたち「身体を動かすことを楽しんで、笑顔になることを大切に考えています」と鯨井コーチ。
 
FC東京が実施するキッズリーダー養成講習会は、U-6、U-8、U-10 をそれぞれ年に2回ずつ、各回30名ほどが受講しています。講習は全国各地でも実施されており、任意登録なので総受講者ではないものの、これまでに1,000 人以上がJFA へ登録をしています。
 
キッズリーダーの資格を持っていなくても、子どもたちにサッカーを教えることはできます。けれどすでにC級やD級のコーチ資格を所有している人にとっても、キッズリーダー養成講習会は有意義で、受講後は子どもへの接し方が変わるそう。
 
「初めて出会ったコーチが怒鳴り、腕を組んで、笑顔がない指導者と『こんにちは~、クジラです』と言った感じでアプローチするのでは全く違うと思います。面白そうなコーチがいるからやってみようとなってくれたら嬉しいです。今日の受講者は30名。受講者の皆様が、身体を動かすことの楽しみを子どもたちに伝えて頂けたら、サッカー人口は増え、日本のサッカー界は明るくなりますよね」
 
子どもたちには、まず、身体を動かす楽しみを伝えます。子どもは遊ぶことが大好きなので、その心を大切にして、鬼ごっこなどで仲間、コーチと関わり、次第にボールに触れ、足で蹴り、最後はゲームをするという段階を踏みながら進めています」
 
子どもたちの中には、ボールを投げることがまだ苦手な子もいれば、動きがまだぎこちない子もいるそう。身体の使い方を身に付けることは、サッカーをする・しないに関わらず、子どもの成長のためにとても大切です。さらに鯨井コーチは「多くの子どもにサッカーをしてほしいという気持ちはもちろんありますが、他の競技を選択する子もいます。そのときにサッカーで学んだことが役に立っていると気づいてもらえたら嬉しいなと思っています」と話してくれました。
 

■多感な時期の子どもへの接し方も学べる

 
キッズリーダー養成講習会の参加者は、指導者はもちろん、コーチを目指す学生、保護者の方々など様々。女性の参加者が多いのも印象的です。「サッカーは全く知らないけれど、子どもがサッカーを始めたので参加しました、という保護者の方々も多くいます。
 
子どものサッカーを見に行って、『何で動けないの?』『どうして蹴れないの?』と思っていた人ほど、実際にボールに触ってみると、『こんなに難しいんだ』と実感するようです。なぜ鬼ごっこが大事なのか、ボールを手や足で扱う難しさや楽しさを、受講してもらいながら座学、実技で新しい発見をしてもらえればと思います」と鯨井コーチ。
 
以前は子どもが放課後にすることと言えば外遊びが主流でした。校庭で好き勝手に遊べて、小学校1 年生の子が6 年生と自然に遊ぶ光景も見られましたが、今は校庭が解放されていなかったり、子どもたちが遊べる場所が減っている地域もあります。公園でボールを投げたり蹴ることを禁止されている地域もあります。
 
そういった環境の変化がある為、家でゲームに熱中したり、広場があってもみんなでする遊びを知らない子も増えていると聞きます。キッズリーダー養成講習会では、今の子どもたちにからだを動かすこと、サッカーをすることにどう向き合わせるのかも学びます。
 
次ページ:ゴールデンエイジに向けて、何をすべきか

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