こころ
2017年9月19日
子どもたちを暴力・暴言から守るために、大人がすべき事とは 「暴力・暴言」への対処法(1)
子どもたちにはサッカーを楽しんでほしい。親ならだれもがそう思っています。それと同時に"勝ってほしい""うまくなってほしい"とも。その気持ちはコーチたちも同じで、その気持ちが大きくなればなるほど、思い通りにいかないことに立腹し、暴力や暴言を吐いてしまう事もあるようです。サッカーだけでなく、スポーツの現場ではまだまだそんな光景が見られます。けれど、それでは子どもたちは楽しくサッカーができません。
スポーツの現場から暴力や暴言をなくすために親はどんなことに心を配ればいいのでしょうか。今から約4年前に「暴力根絶宣言」をし、指導者講習などで啓蒙を続けている日本サッカー協会(JFA)の取り組みを聞きました。(取材・文:前田陽子)
(※写真は少年少女サッカーのイメージです)
■暴力とは、殴る・蹴るだけではない
2013年、大阪の桜宮高校の事件などをきっかけに、スポーツ界における暴力行為が大きな社会問題となりました。日本のスポーツ現場における暴力の問題には、これまでの悪しき慣習や社会の認識が大きく関わっているといえます。JFAでは暴力を用いた指導を「しない、させない、許さない」をキーワードに暴力根絶に向けて取り組んでいます。
暴力と聞くと、殴られる、蹴られるといった、身体的に痛みを伴うことを想像しがちですが、「お前のせいで負けた」などといった心無いことを言われる、無視をされる、負けた罰として走らされる、などの行為も暴力といえます。こうした行為を受けると、精神的にダメージを受け、サッカーに行くことが嫌になったり、怖くなってしまうこともあります。
保護者の皆さんは、サッカーから帰ってきた子どもの様子をじっくりと観察して、いつもと様子が違っていると思ったら、子どもとたくさんの会話をしましょう。異変に気付くためには普段からわが子ときちんと向き合っていることが大事です。
表情、しぐさ、声のトーンなど、普段の様子と違ったら何があったのか聞いてみましょう。その際、質問にもひと工夫して、「何かあったの?」と聞き出すのではなく「今日どうだった?」という他愛のないことから話し始めると、子どもも本音を言いやすくなるのではないでしょうか。
コーチなどから子どもが暴力や暴言を受けていることがわかったとき、親がそのことを相談する場所として、JFA内に「暴力等根絶相談窓口」が2013年6月に開設されました。通報はFAXまたは電話で受け付けています。開設から今まで4年間で通報件数は300件ほどあったそうです。年間約70~80件、月に約6~7件の通報が寄せられ、その大半が小学生年代の保護者からの通報なのだそう。
内容の多くはコーチが小学生に対して、暴力を行っている、暴言を吐いているというもの。JFAが暴力根絶宣言をしてから4年たっても、暴力・暴言がゼロにはなっていないのが現実です。
窓口では、通報を受けた後、案件の内容に応じて事実確認調査を行う場合があります。調査を行う場合は、通報内容だけでは事実を認定できないので、被通報者や関係者等への聞き取り調査を、都道府県サッカー協会や各種連盟を通じて実施します。調査は通報者が特定されないように最大限の配慮をしながら行い、暴力・暴言の事実があったと認定されたら、協会からけん責等の処分が下される場合があります。
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