こころ
2018年7月 2日
世界最高峰の舞台で実際に起きた"リスペクト物語" W杯で日本人の心を癒したトップ選手の振る舞いとは?
■立ち上がれない長友選手を労った"チームメート"
14年のブラジル大会でもそんなシーンがありました。アルベルト・ザッケローニ監督が率いる日本は、グループリーグでギリシャ、コートジボワールと戦い、1分1敗でコロンビアとの最終戦に臨みました。
結果的に、大会ベスト8に入って注目を集め、レアル・マドリードへと移籍したハメス・ロドリゲス選手などにゴールを許した日本は、1-4という大差で敗れて大会を後にすることになりました。
当時、セリエAのインテルでプレーして飛躍的な成長を遂げていた長友佑都選手は、立ち上がることができず、ピッチに座ったまま呆然としていました。そこへやって来たのがフレディ・グアリン選手。インテルの同僚でもあるグアリン選手は、長友選手と抱き合って、彼の健闘を称えました。するとそこへ、エデル・アルバレス・バランタ選手やフアン・クアドラード選手も加わって、みんなで長友選手を囲みました。
ラグビーには「ノーサイド」という言葉がありますが、戦いを終えたピッチに敵も味方もありません。同じように勝利を目指して全力で戦い合った仲間として、コロンビアの選手が取った人間味にあふれる行動は、まさにスポーツマンシップに則ったものだったと言えるかもしれません。
「リスペクト」という言葉の捉え方は人それぞれですが、「相手の気持ちを思いやる」ということは、サッカーに限らず、普段の生活から大事にしたいことでもあります。そうした"当たり前のこと"を改めて考えさせてくれる場所こそが、世界最高峰のフットボールの祭典でもあるようです。
次回は、同じ人間味にあふれるシーンの中でも、「キャプテンシー」に焦点を当てていきます。