勉強と進路
2013年5月31日
英語は勉強ではなく、サッカーを続けるために必ず役立つ大切なツール!?
サッカーは世界でもっとも人気のあるスポーツです。世界中でプレーされていて、日本代表選手の半数以上がイングランド、ドイツ、イタリアなど、様々な国で活躍しています。海外でプレーするときに、切っても切り離せないのが言葉の問題。トップレベルの選手でも言葉が話せなくてストレスを感じたり、コミュニケーション不全が原因で試合に出られなくなったり……という事例も増えています。
■700の単語と40の頻出フレーズを覚えておけばコミュニケーションが成立する?
東京・吉祥寺を中心に塾を展開する「進学塾VAMOS」の富永雄輔代表は、勉強指導・受験対策のほかに、プロサッカー選手に語学指導を行なっています。富永氏は言います。「海外でプレーする選手にとって、言葉の習得は日々の練習と同じぐらい重要なことです。通訳はピッチの中には入れません。味方の指示を瞬時に聞き分けて動くことが求められますし、ピッチ内外でのコミュニケーションがプレーにも反映されます。海外に行って、語学の重要性を感じる選手は多いですね」
サッカーに限らず、企業のグローバル化が叫ばれる昨今、英語の必要性は年々高まってきています。楽天が「社内英語公用語化」を推し進めているのは有名な話です。また、昨年より小学校5、6年生に対して「外国語活動」つまり、英語学習の導入が始まりました。サカイク読者の保護者、お子さんにとって、英語を身につける重要性は高まっていると言っていいでしょう。
では、どうすれば英語を身につけることができるのでしょうか? 富永氏はこう語ります。「語学を学ぶときに一番必要なのはゴールを決めること。マラソンも同じだと思うのですが、42.195kmを走るとわかっていれば、練習計画を立てて、ペースを考えます。ですが勉強になると、ゴールを意識しない人のほうが多いのではないでしょうか。語学も同じで、ゴールを決めて、直線距離で学ぶことがポイントになります。試験で高得点をとりたい、外国人とコミュニケーションをとりたいなど目的は人それぞれだと思いますが、ゴールに辿り着くための第一歩が単語を覚えること。これがすべてのスタートです」
富永氏は外国語でコミュニケーションをとるために、最低限必要なのが「700の単語と40の頻出フレーズ」だと言います。「たとえば、This is an apple(これはリンゴです)という英語。これは“This”も“is”も“an”も“apple”もすべて単語の意味を知っているので、理解することができます。ならば、700単語を繰り返し覚えて、体に染みこませればいい。それと共に40の頻出フレーズを覚えれば、状況やものによって単語を入れ替えるだけで、700×40の表現ができます。これだけあれば、外国人とコミュニケーションをとることができます。そこからは、サッカーであればサッカーに関する単語を覚えていけば十分です」
■「覚える」を暗記と考えず、サッカーでいう練習に置き換えて考える
『700単語、40フレーズを覚える』という、最初のゴールは決まりました。しかし、暗記が一番苦手なんだよな…という人も多いのではないでしょうか。「英語が話せるようになりたいのに、暗記が嫌だ、覚えられないと言う人は、サッカーがうまくなりたいのに、『ドリブルの練習は嫌だ』『ボールタッチの練習なんてしたくない』と言っているのと同じだと思ってもらえれば、わかりやすいかもしれません。それでは、うまくなることは難しいですよね。単語を覚えるには反復が必要。サッカーも同じで、基礎を身につけるときはひたすら反復練習をします。練習をしないでうまくなることはないので、がんばりましょう」
富永氏は言葉を覚えるために、すきま時間を活用しているそうです。「ポケットに単語帳を入れて、ひまなときに紙を見ています。昼ごはんを食べている間に3つの単語を覚えれば、今日のノルマは10個だから、あと7つだなとか。一度に全部は覚えられないのですが、単語帳を見るのと見ないのとでは、見た方がいいと思います。子どもたちは、嫌でも学校の授業で学んでいるので、語学に対する意識が変われば吸収力も変わると思います。せっかくの時間なので、しっかり向き合わないのはもったいないと思いますね」
富永氏が考える、700単語×40フレーズは、中学3年生までの義務教育期間に出てきたものだと言います。「学校の教科書は大学の先生方が作っているので、意味のないことは載っていません。出てくることはすべて必要であり、重要なことなんです」
英語を「大変な勉強」ととらえるのではなく、「将来、役に立つツール」と考えると、いままでとは違った気持ちで机に向かうことができるかもしれません。サッカーも英語も上達なるための本質は同じ。Let’s enjoy English!
<プロフィール>
富永雄輔(とみなが・ゆうすけ) スペイン出身。幼少期をマドリッドで過ごしサッカーの虜になる。京都大学卒業後、進学塾VAMOSを設立。独自の指導法で毎年高い合格実績をあげる。受験メソッドと自分の海外生活の経験を生かし、現在はサッカー選手の海外移籍のサポートや語学の研修も行っている。
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