勉強と進路
2014年11月 6日
我慢できずに怒ったり強制してしまう!それは大人の指導力不足
カラダ・ココロ・アタマをバランスよく育むため、様々なスポーツや運動の中に「学び」の要素を取り入れた新しいプログラム。それが、通信教育で知られる株式会社ベネッセホールディングスが開発した「エデュスポ」です。
10月には東京ヴェルディとコラボレーション。算数・理科・国語・社会などそれぞれ科目別にテーマを設定し、サッカーを通じた実践講座を数日間にわたって開催。株式会社ベネッセホールディングス グループ新規事業開発室の原田文雄さんは「エデュスポ」をスタートさせた狙いをこう話します。
「通信教育を中心に教育事業を展開してきたベネッセとしては、知・徳・体のうち、これまでは知の教育だけしか保証ができていませんでした。教育や子育てをするときには、心や身体を育むこともとても重要です」(取材・文・写真/杜乃伍真)
■コミュニケーション能力を養う指導とは?
今回、サカイク編集部ではエデュスポの『国語×サッカー』を取材。テーマは、コミュニケーション力を養うこと。この講座の中心となった東京ヴェルディの中村一昭スクールコーチは狙いをこう話します。
「コーチも保護者も子どもを育てていく中で、必ず大小の壁にぶち当たります。そのときに物事を解決するために必要なものは、コミュニケーション力だと思うんです。ぼくは東京ヴェルディで学校巡回などを担当させてもらっているのですが、最近は壁にぶち当たったときに挑戦しないで済ませてしまう子どもが多い印象を受けています。子どもたちに小さな壁を用意してあげて、徐々に自分からコミュニケーションをとれる環境をコーチがつくり出してあげることが重要だと思います」
用意したメニューそのものは、以下のようにシンプルなものでした。
・2人1組になってのボール交換
(ボールが空中にあるうちに何回手をたたけるか、ボールが空中にあるうちに体の部位のどこに触れるか、お互いが後ろを向いているときにどうすればボール交換がしやすいか、などバリエーションはさまざま)
・グループに分かれて練習メニューを考える。その意図を発表する。
中村コーチが用意したメニューの意図をこう話します。
「『サッカー×国語』を念頭に置いたものであって、実際はどんなメニューでも構わないと考えていました。狙いはコミュニケーション力を高めることにあります」
実際、メニューが進むと中村コーチが子どもたちにこう呼びかけました。
「いまからみんなの前で実演します。だれか手伝ってくれる人いる?」
なかなか子どもたちは手を挙げようとしません。すると中村コーチが子どもたちの顔を覗き込みながら手を差し伸べます。
「コーチもね、みんなの前で話すのはすごく緊張しています。思い切って挑戦してくれる人はいるかな?」
すると、子どもたちの中からひとり、思い切ったかのように手を挙げて参加してくれる男の子が。中村コーチが嬉し
そうな笑顔を迎え入れて、
「ありがとう。はい、みんな拍手~!」
そんなやりとりの繰り返しによって、子どもたちはだんだんと自ら手を挙げて自分の意見が言えるようになっていきます。