テクニック

2011年3月 7日

【第9回】試合観戦でイメージトレーニングをしよう!-サッカーにおける「リズム」とは?

このコーナーでは、Jリーグや大学など、トップレベルのチームで監督として豊富な指導経験を持つ、桑原隆さんに、TVやスタジアムで試合を観て、知識や技術を豊かにしていく"コツ"をお聞きしていきます。

■試合がグッと面白くなる。「リズム」に注目して見てみよう!

「サッカーに大切な要素の一つとして挙げられるのが、リズムです。よくサッカー解説者が『いいリズムでボールを回していますね』と話しているのを聞きますよね。そこで今回はサッカーにおけるリズムについてお話ししましょう。

リズムのあるサッカーをしているか見分けるためには、まずボールの動きを見てください。 電車で例えると、準急や快速電車は各駅停車の電車よりも待ち時間があまりなくリズムよく目的地に進んでいきます。それと同じでボールを準急、快速のように1タッチや2タッチでテンポよく回すことができれば、自ずとリズムを作り出すことができるのです。

 それとは逆に、待ち時間の長い各駅停車のように、選手がボールを持ってから時間をかけてしまうと中々リズムを出せません。そうなると相手にも動きを読まれやすくなってしまいますし、いいテンポでボールを運ぶことができません。要するに少ないタッチ数で、パスがポンポン回るチームほど、いいリズムを作り出すことができ、相手守備陣にも的を絞られずによい攻めができるということになります。それによって相手の裏をかくことができるんです。

 前にもお話しましたが、サッカーは騙しあいのスポーツです。いかに自分たちの手を悟られないようにするか、色々な駆け引きをするんです。自分たちのリズムを作り出すというのもそのためです。 リズムが悪いときは、ボールも人も動いていない状況になります。選手たちがボールを受ける前にきちんと動き、立ち止まってプレーをしないだけで自然とリズムは出てくるものです。 もちろん、ただパスがつながっていても横パスやバックパスばかりではリズムは出ません。しかし、例外もあって、昨シーズンのサンフレッチェ広島のように、ゴールに向かえない場合は後方でパスを回し、相手の隙を狙っていくという戦術もあります。これは端から見ているとリズムのない状況ですが、チーム戦術である場合、それは選手たちにとってリズムの一つとなります。

 皆さんもゲームをご覧になるときに、今はどちらのリズムで試合が進んでいるか、考えながら見てみると面白いと思いますよ」

桑原隆//

Takashi Kuwahara
1948年5月5日、静岡県出身。藤枝東高校卒業後、古河電気工業で攻撃的MFとして活躍。現役引退後に指導者となり、96年から9年間にわたって監督・コーチ・強化育成部などを務め、ジュビロ磐田の黄金期を支えた。その後、浜松大学監督、横浜F・マリノス監督を歴任。Jリーグや海外リーグ等、サッカー中継の解説者としても幅広く活躍している。

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