テクニック

2011年3月27日

【第10回】試合観戦でイメージトレーニングをしよう!-ゲームメーカーってなに?-

このコーナーでは、Jリーグや大学など、トップレベルのチームで監督として豊富な指導経験を持つ、桑原隆さんに、TVやスタジアムで試合を観て、知識や技術を豊かにしていく"コツ"をお聞きしていきます。

■ゲームメーカーに必要な能力を学ぶ

「今回もリズムに関するお話をしたいと思います。多くのチームでは攻守の要となる中盤にリズムを与える役割を持った選手がいます。リズムを作れる選手というのは、簡単にいうとゲームメーカーのことです。

ゲームメーカーに必要な能力とは、ボールをしっかりとキープでき、ロングボールを正確に配球できる技術だと思います。なおかつ、高い戦術眼を持ち、現状のリズムの良し悪しを見分け、把握できることも大切です。例えば、(自分たちの)リズムが悪いのならば、無理をせずにマイボールの時間を長くしキープする。もしくは、相手DFの背後へボールを入れ、一旦、(相手の)守備陣を下がらせてから自分たちでボールをつなぐ。そのようにゲームメークできる力を持っている選手がいるとチームにとって心強いですね。Jリーグでいうとガンバ大阪の遠藤保仁選手、鹿島アントラーズの小笠原満男選手のようなタイプの選手がその代表といえるでしょう。

試合を見ていてリズムが出ない時は彼らのような選手がどこにいるか? またその選手たちを上手く使えているか? に注目してみるといいと思います。さらに中盤でゲームメークを任された選手たちが、どうにかして流れを引き込もうとしている部分にも焦点を当てて見ると面白いと思います。

不思議なことですが、どんなに強いチームでも90分間、リズムよくプレーすることはできません。両チームにリズムよくプレーできる時間が必ず訪れるんです。ただ、強いチームというのは、その時間が長い。逆に実力で劣るチームは自分たちの時間が短くなります。

現代サッカーではポゼッション率が重視されます。でも、ポゼッション率が高いチームが必ず勝てるかといえば、そうではないんです。確かにボールがつながるスタイルは見ていて楽しいですが、サッカーの最終目的はゴールを決めることです。だからこそ、ゲーム中、両方のゲームメーカーがどのような動きをしているか、ぜひ見てください。ボールのないところでも懸命に駆け引きをしているはずです。そういった部分を見ることで、またもう一歩サッカーを深く知ることができると思います」

桑原隆//

Takashi Kuwahara
1948年5月5日、静岡県出身。藤枝東高校卒業後、古河電気工業で攻撃的MFとして活躍。現役引退後に指導者となり、96年から9年間にわたって監督・コーチ・強化育成部などを務め、ジュビロ磐田の黄金期を支えた。その後、浜松大学監督、横浜F・マリノス監督を歴任。Jリーグや海外リーグ等、サッカー中継の解説者としても幅広く活躍している。

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