テクニック

2014年6月25日

ブラジルのストリートサッカーにある"シュートを工夫する文化"

ワールドカップ・ブラジル大会の開幕戦「ブラジル対クロアチア」。この試合を決定づけるオスカル選手の3点目は記憶に新しいことと思います。
 
あのシュートを見て、「どうしてクロアチアのキーパーは、あのような弱いシュートを止めることができなかったのか」と感じた人も少なからずいるのではないでしょうか。ブラジルの現地で見ていた私もその一人です。さらに言えば、ネイマール選手の1点目も「防げるのでは?」と少し思ってしまうものでした。
 
「僕たちはいつもシュートを狙っているんだよ。だってゴールを決めたいから」
 
そう話してくれたのは、開幕戦の翌々日にブラジルで一緒にストリートサッカーをした9歳の男の子です。
 
9歳~25歳までが一緒になってサッカーをしたのですが、そこでオスカル選手やネイマール選手のシュートが生まれた理由を知ることができました。
 
(取材・文・写真/遠藤由次郎)
 

■ブラジル人がゴールの決め方を知っている理由

シュートをしないとゴールが決まらないのは当たり前の話です。ところが、やみくもにシュートを打っても入らないのも事実です。では、どうしたらゴールが決められるのでしょうか。
 
ブラジル人の子どもたちは、大人や年上の子どもたちと一緒にサッカーをします。年上の子どもも一切手加減をしないので、小さな子どもは普通にプレーをしていたら点を決めることができません。
 
でも、負けず嫌いで目立ちたがり屋ばかりの彼らは、どうしてもゴールを決めたい。そこで、威力に頼るシュートからタイミングをずらすシュートを自然と打つようになるのです。
 
実際、「え? そのタイミングでシュートを打つの?」ということが何度もありました。小さなモーションで突然シュートをしたり、いきなりダイレクトシュートを打たれたりして、恥ずかしながら何度も10歳前後の子どもに点を決められてしまいました。さらに、わざと足を出させて股の下を抜くシュートも狙ってきます。
 
逆に言えば、それしかゴールをする方法がなかったのかもしれません。
 
 

■自発的に工夫したシュートを打つために

しかしブラジル人の子どもたちは、いろいろ世代が入り混じってするストリートサッカーの中で、自然と冒頭のオスカル選手やネイマール選手のようなシュートを身につけたのだと思います。
 
日本では危険だから、小さい子には手加減することが多いと思います。もちろん怪我などを考えてのことですから否定は出来ません。
 
しかし、あまりにいつも手加減をしてしまうと、“シュートに工夫を凝らす”ことはないのではないでしょうか。
 
強い相手、大きい相手に対してゴールを生み出すためには、シュートに工夫が必要です。そのためにも、小さな子どもが“どうやったら点が決められるのか”を自発的に考えるよう促してあげることも大切だと思います。
 
 
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