テクニック
2015年6月26日
なでしこジャパンの強さの秘密とは!? オランダ戦徹底分析
FIFA女子ワールドカップ2015カナダに出場中のなでしこジャパン。ラウンド16のオランダ戦に2対1で勝利し、ベスト8に駒を進めました。果たして、なでしこジャパンの戦いぶりはどうだったのでしょうか? このまま決勝戦まで、突き進むことができるのでしょうか? サッカーサービスのポール・デウロンデルコーチにオランダ戦の分析をしてもらいました。(取材・文 鈴木智之 写真 Getty images)
■ポゼッションとカウンター、ふたつの型を使い分ける攻撃陣
なでしこジャパンはオランダに2対1で勝ちました。この試合の両チームを比べると、技術的にも体力的にも、戦術的にもなでしこの方が、オランダを上回っていたと思います。なかでも、なでしこの選手たちのボールを扱う技術、身体を自在に動かすコーディネーションは、オランダよりも優れていました。もし、なでしこの選手たちが、もう少し速い判断のもとにプレーをすることができれば、3点、4点とゴールが決まっていたかもしれません。
まずは、この試合で良かった点から見て行きましょう。なでしこは、攻撃時に2つのパターンを使い分けることができるチームです。チームとしてボールを保持することができ、ボールを扱う技術が高いので、ポゼッションをしながら攻めることができました。一方で、前線からプレスをかけてボールを奪うと、時間をかけずに、素早く相手ゴールに迫る形も何度か披露しました。つまり、ポゼッション型の遅攻とカウンター型の速攻という、2つの攻撃パターンを使い分け、それをゴールに結びつけたのです。
攻撃に関して言うと、右サイドバックの有吉佐織選手が良いプレーをしました。有吉選手が攻め上がってサイドハーフの位置に入ることで、中盤の4人+有吉選手という形になり、最終ラインを2人のセンターバックと左サイドバックの3人で形成し、幅と厚みをともなった攻撃ができている時間をつくれました。
■認知・判断・実行のプロセスが的確に行われた先制ゴール
先制ゴールの場面、有吉選手はこぼれ球を予測して前進し、必要な場面に意図的に入っています。これは、我々サッカーサービスがU‐13年代から提唱している「周りの状況を認知し、予測し、判断する」というプレーです。認知・判断・実行のプロセスが的確に行われたことが、ゴールに結びついたのだと思います。もちろん、宮間あや選手のクロス、ゴールポストに当たった大儀見優季選手のヘディングも良かったと思います。
大儀見選手は、スペースで受ける、相手のマークを外す動きに秀でた選手です。有吉選手のゴールのひとつ前のプレーでは、大儀見選手はマーカー(DF)の裏に抜ける動きをし、相手がプレーしづらい状況を作り出してから、反対の動きをして中央に入り込んでいます。相手DFはボールとともに、大儀見選手の動きも見なければいけない状態でした。
大儀見選手のマークを外す動きはすばらしいものがありますが、その回数を増やし、精度を高めることはできると思います。オランダよりもレベルが上のチーム、相手と競り合う場合、さらなる動き出しの質が求められるでしょう。とくにマークを外すタイミングに関しては、さらに向上できると思います。
2点目の阪口選手のミドルシュートに至るコンビネーションは、良かったと思います。なかでも、シュートを打つまでの「ボールを奪う→速攻」という形は質の高いものでした。まず、オランダの左センターバックがボールを持った時に、岩渕真奈選手がプレスに行きます。これにより、オランダの左センターバックは左サイドバックへとパスを出します。そこには川澄奈穂美選手がプレスに行っており、縦のコースを塞いでいました。
そこで、左サイドバックの選手は中央にパスを出すのですが、そこには阪口選手がプレスをかけに行っていました。そこでボールを奪うと、川澄選手、岩渕選手とつなぎ、大儀見選手へスルーパスを出します。大儀見選手がペナルティエリアでキープしているところに、宮間選手が相手の逆をつく動き出しでフリーになってパスを受け、中央へ折り返したボールを岩渕選手がスルー。最後は阪口選手が左足でシュートを決めました。
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