テクニック
2015年6月27日
なでしこジャパンよ、こうして勝ち上がれ!W杯決勝T攻略法
なでしこジャパンのワールドカップ準々決勝、オーストラリア戦がいよいよ明日、行われます。注目の試合を前に、ラウンド16のオランダ戦を振り返るこの企画。分析をお願いしたのは、サッカーサービスのポール・デウロンデルコーチです。後編では、なでしこジャパンが強敵に勝つために今後改善できる点について、解説してもらいました。(取材・文 鈴木智之 写真 Getty images)
■なでしこジャパンの生命線は"数的優位をつくること"
前回のコラムでは、なでしこジャパンの良かったプレーについてお話しました。攻撃のコンビネーション、前線からのプレス、サイド攻撃など、いくつかの良いプレーが見られました。
また、攻撃時のビルドアップに欠かせない「センターバックがドリブルで前に運ぶプレー」についても、良いプレーがありました。
右センターバックの岩清水梓選手が、最終ラインから前方にドリブルでボールを運ぶことで、オランダのワントップの選手がプレスをかけてきます。オランダは4-2-3-1のシステムで戦っていたのですが、ワントップの選手が岩清水選手にプレスをかけることで、周囲にいくつかのスペースが発生します。
サッカーは「いかにして数的優位を作るか」が大切なスポーツです。岩清水選手がドリブルでボールを前に運ぶことによって、ワントップの選手を引きつけ、空いたスペースにボランチの阪口夢穂選手や宇津木瑠美選手が入り、パスを受けることができます。そのようにして、中盤で数的優位を作る場面が何度かありました。
一方で、相手の2列目、つまり4-2-3-1の「3」のラインを突破することは比較的できていましたが、オランダのダブルボランチで形成する「2」のラインを越えるときに、苦労をしていたように見えます。その中でも、右サイドの川澄奈穂美選手は広い範囲を動いて味方をサポートし、周囲の選手がプレーしやすい状況を作っていました。
■中盤のキーマンは宇津木瑠美
ボールを奪われた後の攻守の切り替えも速く、チームとしてのプレスも機能していたと思います。これは、選手たちがフィジカル的に良い状態で試合に臨むことができていることを現しています。前回のコラムでも説明しましたが、阪口選手の得点に至る前の、相手からボールを奪う場面では、「オランダがサイドにボールを運んだときに、すばやくプレスに行く」という約束を、選手たちは忠実に実行していました。それに対してオランダは、最後まで日本のプレスをかいくぐる術を持つことができなかったため、日本が優位に試合を進めていました。
中盤でのプレスに関して言うと、宇津木瑠美選手の動きは良かったと思います。1対1の守備の時に、激しく相手に寄せることができる選手で、味方がプレーしやすいようにいいサポートともできます。ボールを持っている選手に近づきすぎず、ピッチの中央でサポートができるのです。これは、ボランチとして必要なプレーです。
今後、彼女がさらに上のレベルの選手になるためには、サポートをするゾーンがどこかを見極め、素早くポジションをとれるようになると良いでしょう。彼女はサイドでもプレーできる選手のため、ときおりピッチ中央部のゾーンから離れてしまうことがあります。ボランチがサイドにポジションをとると、もっともケアすべき「中央ゾーン」を、相手に使われてしまいます。
オランダ戦でも、ダブルボランチの宇津木選手と阪口選手のバランスが気になりました。相手チームの選手がピッチ中央でボールを持っている時、ボランチのひとりがプレスに行くと同時に、もう一人も近い距離で寄せてしまうと、一度にラインを突破されてしまう危険性があります。ダブルボランチはお互いの位置を見ながら、中盤にラインを作り、バランスをとる動きが重要です。また、ピッチ中央のバランスをとると同時に、中盤と最終ラインのバランスをとることも必要になります。このように、全体のラインを決める役割を求められるので、中盤でプレーする選手の責任は重大なのです。
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