テクニック
2015年8月24日
「マークを外せ」と指示されたら思い出したい、たった2つのこと
サッカーサービス社がスペインの育成メソッドを基に独自開発したトレーニングDVD『知のサッカー』。サッカーサービススクールのポール・デウロンデルコーチがその一部を解説する説明会が7月に開催されました。第3回目の開催となる今回のテーマは、個人戦術『マークを外す動き』とチーム戦術『数的優位』。どちらもジュニア世代の選手たちが習得すべき重要な項目です。そこで全2回に渡って、それぞれの内容を要約して紹介します。(取材・文 木之下潤)
■マークを外したいなら、マークする側の基本を知ろう
「 『マークを外す動き』とは、どんなことだと思いますか?」
説明会参加者にこう問いかけ、講師を務めるポール・デウロンデルコーチ(以下、ポールコーチ)の話がスタートしました。少し間をおき、その定義を次のように答えました。
「ボールを持たない攻撃の選手が相手DFから離れてフリーになること。もしくは、次のプレーを容易に行える有利な状態でボールを受ける技術」
そもそも『マークを外す動き』は何のために行うのでしょうか。
それはゴールを狙うため、チャンスを広げるために仕掛ける動きです。目の前の敵=マークする敵から逃れてフリーになるための駆け引きをする動きだと言えるのではないでしょうか。
つまり、攻撃の選手が自分に有利な状況を作り出すため、相手DFをだまし、撹乱する動きです。続けて、ポールコーチは『マークを外す動き』で大切なポイントをわかりやすく、4つ挙げてくれました。
【マークを外す動き/ポイント】
1.2歩以上のステップで予備動作を行う
2.2種類のマークを外す動きを使い分ける
3.シュートを打てる有利なスペースを使う
4.腕を使って自分のスペースを確保する
これらのポイントを理解するには、まず『マークする側』のことを知ることが必要だと語りました。マークする側は、必ず“ボール”と“攻撃選手”を同時に見えるポジション、もしくは視野を確保します。それを逆手にとり、どちらか一方でも見えにくい状態を作ることが『マークを外す動き』を成功させるコツだとアドバイスをくれました。
では、具体的に1~4の流れでポールコーチの言葉を使いながら、簡単に解説していきましょう。
■相手を反転させ、時間と動くスペースを作る
『1.2歩以上のステップで予備動作を行う』とは、要するにフェイントを用いてマークを外すということです。特に相手陣内の攻撃においてフリーになることは、容易いことではありません。自分に対して、誰かがマークにつくのが基本だからゴールに近づけば近づくほどマークは激しくなり、時間と動くスペースをどんどん制限されます。
だからこそ、2歩以上のステップで予備動作を行い、マークにつく相手にフェイントをかけることで自分がプレーする時間と動くスペースを確保するのです。そのときに意識することは「自分が向かいたい、もしくは使いたいスペースを作り出す」ということです。これを生むには「1歩のステップでは難しい」とポールコーチは言います。
なぜなら、一歩だけでは相手DFの注目を集め、意識を向けることはできても撹乱するまでには至らないからです。この場合の撹乱とは『相手DFのバランスを崩すこと』。もっと成功した例を挙げると『自分が向かいたい方向と逆方向に、相手DFを進めること』です。
これは『相手DFを反転させること』が狙いであり、それで自分がプレーする時間と動くスペースの確保をするのです。だから、ポールコーチはこう強調します。
「4~5歩ステップを踏むと、相手DFはトラブルを起こす」
解説すると、攻撃の選手が自分の狙うスペースとは反対方向に4~5歩ステップを踏めば、当然DFも同じ方向に4~5歩進みます。すると、狙ったスペースがより大きく空くことになります。次に、そのスペースを目掛けて全力で走り出したらどうなりますか?
相手DFは反転して自分の背後に空いたスペースに振り向き、対応しなければなりません。そうすると、攻撃の選手にとっては自分がプレーする時間と動くスペースが大きく生まれることになるでしょう。だから、2歩以上のステップで予備動作を行うことが重要なのです。
ただ、この状況はボール保持者が『前にパスを出せる』ことが前提です。もしボール保持者がマークを受け、『前方にパスを出せない』とすればどうでしょうか。
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