テクニック
2015年8月27日
「数的優位を作れ」と指示された子どもに伝えたい3つのこと
■1対1の状況を作らず、時間を稼ぐのが基本
また、守備においての数的優位のポイントです。これは2つの捉え方があります。まず『1対1の状況を作らない』こと。さらに『数的同数、また数的不利の場合は時間を稼ぐ』ことです。
守備時にもっとも危険な状況が1対1であることに疑いの余地はありません。ゴール前でドリブル突破されたら、GKと1対1になり、ゴールを決められる可能性は極めて高くなります。だから、十分に気を配らなければなりません。
そして実際に、守備で数的優位の状況ができたら、次に考えることは攻撃側の選択肢を減らすことです。具体的には、守りの一人が一つの選択肢を遮断すること。たとえば、サイドでボールを持った選手がいるならば、2人のうち1人が中央への選択肢を消し、選択肢を縦一本に限定するのです。
そうすれば、もう1人のディフェンスは味方の助けを得ながら縦に対する仕掛けに対応するので、守備がやりやすくなります。ここで時間を稼げば稼ぐほど、どんどん1対2はスペースが小さくなって密集エリア化するのでボールを奪う確率は高まるでしょう。ただし、この状態でも抜かれてしまった場合は「必ず100%の力で後退することが約束事だ」とポールコーチは強調します。
少し触れましたが、攻撃側に時間をかけさせれば守備側にとっては前線から味方が戻り、人数がそろいます。だから、数的同数、また数的不利の場合は時間を稼ぐというのが守備の鉄則なのです。
ここで注意すべきことは、エリアによってポジションのとり方が重要になることです。ゴールから遠い位置での争いであれば問題はありません。しかしゴールに近い場合は、中央のスペースを閉じてしまわなければシュートを打たれてしまいます。知識として持っておかなければならないのは、これらの対応が必要な状況が起こるのはカウンターを受けているときが多いということ。
そもそもピンチ=緊急事態だから考える余裕がありません。だからこそ、対処法を整理し、「自分だったらこうする」という解決方法をいくつか持っておくのも一つの手段です。
最後に、ポールコーチは「コーチがさまざまな場面で選手に問いかけ、コミュニケーションをはかりながら攻略法や対処法を蓄積させることが大切だ」と訴えました。『数的優位』がチーム戦術である以上、味方や敵がいるゲームの中で教えていくしかありません。ジュニア世代から『プレーイメージ』をコツコツと上積みし、さまざまな引き出しを作ってあげることが指導者の務めだと教えてくれました。
サッカーがチームスポーツであるからには、チーム戦術の指導もジュニア年代から必要です。ぜひ、その点も含めて子どもたちにアドバイスを送ってあげてください。
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