テクニック

2015年10月13日

子どもが「練習に行きたくない」と言うなら行かせるべきではない【クラウスの金言】

Photo by USAG- Humphreys

■環境を変えることは難しいが工夫はできる

クラブによっては満足なグラウンドの広さもなく、ゴールがなかったり、あるいは選手数が多すぎたり、少なすぎたりで四苦八苦しているところもたくさんあると思われます。その点は理解したうえで、クラウスは「環境を変えることは難しい」と言葉を選びながら、話し出しました。

「どうしようもない状況を嘆いてもしょうがないだろう? 例えば、冬に雪が降って外でサッカーができないという声がある。ドイツもそうだよ。ぼくは子どものころミュンヘンで暮らしていたけど、1年のうち半分は雪だった。冬に雪が降る。それが普通なんだ。もし室内で練習できる環境があるならそれは素晴らしい幸運なんだ」

「室内でのトレーニングはテクニックトレーニングに理想的な環境だよ。壁があって跳ね返るから、ボールコンタクトは自然に増えるし、パスやトラップ練習に最適。それに外と違って室内だと地面が平らだから、正確な技術を身につけることができる。1対1を組み入れたシュート練習もいいし、ミニゲームは自然に運動量も高まる。2対2から4対4、あるいは片方の人数を増やしたり減らしたりして、状況を変える。ドイツの子どもたちは室内サッカーは大好きだよ」

普段できない場所で、その状況を思いっきり楽しめるように工夫されたトレーニングは指導者にとっても、子どもたちにとっても刺激的なもの。好奇心をくすぐられないわけがありません。もちろん奇抜さがいいというわけではありません。前述のとおり、コーチには十分な専門知識が必要なのですから。でも平均点な正解を探すよりも、「こんなこともできるんじゃないか。あれをやったらおもしろいんじゃないか」とチャレンジし続けるクラブは子どもたちが求めている宝島のような存在で、そうしたクラブの練習にはキラキラの目をして待ちきれない思いでやってくるのではないでしょうか。

クラウス・パブスト(Klaus Pabst)

ドイツの名門「1.FCケルン」でユースコーチや育成部長を務め、多くのブンデスリーガを輩出。ケルンで最初となるサッカースクール「1.Jugend-Fusball-Schule Koln」を創設し、サッカー指導者養成機関としても知られる国立ドイツ体育大学ケルンで講師を務めるなどドイツサッカー育成の第一人者である。
日本へは何度も訪れており、指導者講習会や選手へのクリニックを開催。日本サッカーの育成にも造詣が深い。

 

【クラウスの金言】

ゴールを決める!目的を持ったトレーニングが子どもを成長させる

「広がれ」という指示はNG!与えるのは答えではなく少しのヒント

「球際の激しさ」だけではない、ボールを奪える子どもの育て方

「シュートを浮かすな!」ではなく、浮いた理由を説明すること

サッカー歴30年の親が子どものプレーを指摘し過ぎてはダメな理由

子どもが「練習に行きたくない」と言うなら行かせるべきではない


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