テクニック
2015年12月 2日
スライディングは最後の手段!小学生から身に着けるべき守備のセオリーとは
サッカーの局面は「攻撃」と「守備」の2つの局面に分かれます。
ジュニア年代において、「守備の仕方を教わったことがない」という人も多いのではないでしょうか。スライディングでボールを取ろうとする子供もよく見かけますが、スライディングとはホントに最後の最後の手段です。
当たり前ですが、攻撃がいくら強くても守備がダメなら試合に負けます。しかし、幸運なことに守備にはセオリーがあり、スライディングにしてもその使い方にセオリーがあります。そのセオリーを知っておくと守備は着実に上達します。
今回、スペイン・バルセロナを拠点に世界中の選手、クラブの指導をし、日本各地でスクールやキャンプを開催しているサッカーサービスのフリアンコーチに「ジュニア年代でも身につけられる守備の基本」について話を聞いてきました。(取材・文 鈴木智之 写真 鈴木蹴一)
■選手個々の守備の個人戦術があった上でチームとしての守備が確立
サッカーは1点を争うスポーツです。ゴールを決めることと同じぐらい、ゴールを守ることは大切です。たとえば、先日行われたレアル・マドリー対バルセロナのエル・クラシコ。あの試合はレアル・マドリーの守備がうまくいかず、バルセロナに4点を奪われてしまいました。C・ロナウドやハメス・ロドリゲスなど、世界有数の攻撃力を持った選手がいたとしても、守備がよくなければ試合に勝つことはできないのです。
そして、守備にはセオリーがあります。それを知り、トレーニングで繰り返していくことで上達していきます。サッカーサービスは日本でスクールや短期のキャンプを開催していますが、そこではU-13の子どもたちに守備の個人戦術を教えています。それはポジショニングであったり、身体の使い方。ボールを奪うべきか、ゴールを守るべきかといった判断などです。それらを、実際の試合と近い状況下でおこなう練習で身につけていきます。
日本においては、育成年代で守備の基本を身につけることの重要性が、それほど深く理解されていない印象を受けます。それはJリーガーや日本代表選手のプレーからも見てとることができます。
ワールドカップに出て、C・ロナウドやハメス・ロドリゲスのような選手を抑えこむためには、選手個々が「守備の個人戦術を身につけている」という前提がある上で、チームとして守備の組織が確立されていなければいけません。選手個々の守備戦術については、小学生年代からの積み重ねが不可欠です。身につけるためには時間が必要なので、我々はU-13のスクールやキャンプを通じて、攻撃だけでなく守備のトレーニングも重要視しています。
■ボールを奪うことよりも、ゴールを守ることが最優先
守備の重要性について例をあげて説明します。
たとえば、先日行われたクラシコの試合。いくつか守備の改善点がありました。
後半開始1分30秒の場面、レアル・マドリーのマルセロがドリブルで左サイドを突破し、バルセロナのピケをかわしてシュートを打った場面です。マルセロの突破はすばらしかったのですが、ピケの対応に改善の余地がありました。
ピケはマルセロがドリブルでゴールに向かってきたところ「ボールを奪う」ためにスライディングタックルをしました。それをマルセロにあっさりとかわされ、ペナルティエリアへの進入を許し、シュートを打たれました。ボールはゴールの枠を反れたため、失点にはなりませんでしたが、ゴールを決められてもおかしくない場面でした。
ここで、ピケがマルセロに対応した場所に注目してください。ピケがタックルを仕掛けた場所は、ペナルティエリアの外でした。ゴールまでには距離があったので、一か八かのスライディングタックルをするのではなく「ゴールを守る」ことを優先し、ゴールへ進むコースを遮断するようなポジションをとるべきでした。
もちろん、トップレベルの試合においては瞬時に判断し、決断をくださなければいけないので、適切なプレーを選択するのは簡単なことではありません。ですが、守備の個人戦術が的確に身に付いており、また我々がスクールなどで提唱している「認知」「判断」を的確におこなっていれば、少なくともタックルを仕掛けてかわされ、シュートを打たれることはなかったのではないでしょうか。
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