テクニック
2021年3月26日
「常にゴールを意識し判断する」大宮アルディージャジュニアのトレーニング / ポゼッションからゴールへの結び付け方
サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』では、ジュニア年代屈指の強豪・大宮アルディージャジュニアのトレーニングを公開中。トレーニング後編では「常にゴールを意識した中で状況にあわせて判断し、プレーすること」をテーマに行われた『4vs4+3フリーマン』の模様を紹介したい。(文・鈴木智之)
(※COACH UNITED 2017年4月25日掲載記事より転載)
「ゴール」を意識しながらプレーする
トレーニングの前半では『4対2のボール回し』『六角形のパス』を実施し、いずれも『ゴール』『攻撃方向』『縦パス』にフォーカスしたコーチングが行われた。次に選手達が取り組んだのが『4vs4+3フリーマン』だ。
設定としては、長方形のグリッドを作り、短いサイドの辺にフリーマンを1人ずつ置く。グリッド内は4(ピンク)対4(ビブスなし)+1フリーマン(緑)となり、両サイドにゴール役としてのフリーマン2人(緑)がそれぞれのサイドに入る。
フリータッチ(制限なし)の中で、それぞれのチームがサイドのフリーマンから、相手にボールを奪われずに逆サイドのフリーマンへパスをつなぎ、もう一度最初にパスを出したフリーマンまでボールをつなぐことができたら1点というルールだ。(ボールが外に出たら、相手チームのボールになる)
森田浩史監督(※現:大宮アルディージャジュニアユース監督)は選手達に「DF(注・相手チームの選手)がいる中で、どうやって逆サイドまでボールを運べばいいかを意識しながらやろう」と声を掛けて、1ゲーム4分の設定でスタート。選手達のプレーが進むにつれて、森田監督からは次のようなアドバイスが飛んでいた。
「まずはゴール(注・サイドのフリーマン)を意識しながらプレーしよう」
「ゴールに向かう道はどこにある?」
「常にボールを受ける準備をしながら、どの方法でゴールまで行けるか。状況にあわせて判断しよう」
「ドリブルを使ってもOK。パスだけで解決しなくてもいいよ」
「一瞬の判断」で局面を打開する
さらに森田監督はゲームとゲームの合間に、判断のスピードにも言及。
「ボールが来てから、次の選択肢を探している人が多い。ボールを止めて、行けると判断していたら、その瞬間にパスコースを消されてしまうよ。チャンスを見逃さないために、判断スピード、プレースピードを上げよう」
大宮アルディージャジュニアは最終ラインからビルドアップし、素早いボール回しからフィニッシュに持ち込むのが特徴的だが、そのためには判断スピード、プレースピードが重要になる。森田監督のコーチングの内容からは、実際の試合から逆算してアドバイスをしていることがうかがえる。
トレーニングの最後は試合で締めくくった。ここでは、数的同数でGKがいる状況の中、常に攻撃方向と相手ゴールを意識してプレーすることを再度徹底。8分×2本の設定で実施し、トレーニングは終了した。
トレーニング中、一貫して見ることができるのが、選手達の技術の高さだ。さらに、練習のテーマに働きかける森田監督のコーチングなど、普段はなかなか見ることのできない様子を、ぜひCOACH UNITED ACADEMY動画でご覧頂ければと思う。
【講師】森田 浩史/
現役時代はサガン鳥栖、アルビレックス新潟、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府、V・ファーレン長崎、タイのチョンブリなどでFWとしてプレー。引退後の2011年より指導の道に入り、大宮アルディージャのスクールコーチを経て、2013年よりジュニアコーチ、2016年より監督を務め、2019年よりジュニアユースの監督を務めている。