テクニック
2022年12月15日
インターハイ出場校も採用。ドリブル上達だけじゃない「テクダマ」がチームにあたえる効果
発売直後から完売が続くなど、注目を集めている「テクダマ」。これは、2号球の大きさながら4号球の重さがあるボールで、独自開発のバランス設定により、普通にバウンドすることもあれば、ボールの当たる面によって回転が変わったり、不規則な動きをするという「予測不可能なボール」です。
ジュニアから高校生まで、幅広い選手たちがトレーニングに取り入れ、テクニックや対応力、体の調整力を向上させるために役立てています。
今回は2016年に創部し、2021年に高校総体(インターハイ)に出場した、愛知県豊川高校女子サッカー部の牛田佳祐監督と、男女総監督の加藤秀隆監督に、テクダマの活用について話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■テクニック向上のためにチームに導入
不規則なバウンドでボールコントロールのトレーニングができる「テクダマ」
豊川高校には男子サッカー部があり、2016年に女子サッカー部が設立されました。男子サッカー部の加藤監督は「テクニカルなサッカーが好きなので、女子もその方向でやることにしました」と、チームのスタイルを説明します。
技術力向上のため、小さくて重いボールを使ってトレーニングをしていたところ、女子サッカー部の牛田監督がSNSでテクダマの動画を見たことで、導入に至ったそうです。
「テクダマの動画を見て、これはおもしろそうだと思って購入しました。でも、最初はすぐに完売してしまって1個しか買えず、しばらくしてから追加で2個購入しました」
豊川高校女子サッカー部では、テクダマを主に2つの用途で使っているそうです。それが「中心選手の技術力向上」と「チーム内でのコミュニケーションツール」です。
■チームの主力選手が使う特別なボール
牛田監督は「チームの中心になるような、技術力の高い選手にテクダマを与えて、他の選手が5号球を使っているときにテクダマでドリブル練習をしたり、リフティングをさせることで、もう1つ上のステージ行くための刺激を与えています」と活用方法を明かします。
動きが予測できないため常に集中してボールコントロールするようになる(豊川高校サッカー部提供)
「うちのチームでは、コーチが認める中心的な選手、技術レベルの高い選手だけがテクダマを使った個人練習をおこなうことになっているので、特別なものとして感じている選手もいると思います」(牛田監督)
男女総監督である加藤監督も「ある程度技術のベースのある子が、テクニックを高めるためにはいいと思います」と話し、こう続けます。
「テクダマを使うと不規則なバウンドに対して、反射的にボールタッチをしたり、細かいタッチをするようになります。普通のボールは大雑把にタッチしても止まりますが、テクダマはアウトサイドでのタッチにしても、柔らかくタッチしないとコントロールできないので、自然と意識するようになっていきます」
狭いところを突破するためのトレーニングにも活用(豊川高校サッカー部提供)
チームとしては新チームの立ち上げ期や、インターハイが終わって選手権に向かうときなど、新たに指導するときのミニゲームで使用しているそうです。牛田監督は言います。
「休み明けにテクダマを使ってミニゲームをすることで、頭や体に様々な刺激が入ります。ボールが不規則に動くので、常に注意しなくてはいけないですし、ボールの正面に入るために、とっさに動く必要性も出てきます。認知や判断にも働きかけるので、『こういうボールが来るだろう』と決めつけがちな女子選手には、とくに良いと思います」
■ミニゲームで使うとポジティブなコミュニケーションに
テクダマは思いも寄らない動きをするので、選手間で自然と笑いが起きたり、声が出たりと、チームを盛り上げる意味でも役に立っているそうです。
「新入生が入ったときやチーム内でコミュニケーションをとりたいときは、テクダマを使ってミニゲームをすることもあります。インターハイが終わって、『選手権に向かうぞ!』と気持ちを切り替えるときにも使いました。コミュニケーションツールになるのもいいですよね」
豊川高校女子サッカー部は、テクニカルで攻撃的なスタイルを目指しています。部員は3学年で41人。そのうち1割程度は、高校から本格的にサッカーを始める子だそうです。
「サッカースタイルに共感して、来てくれる子も増えています。中学時代は違うタイプのサッカーをしていた子が、ステップアップのために来ることもあります。チームとしては、攻撃的なスタイルを崩さず、3年位内に全国ベスト4に入るチームを作りたいです」
テクダマをはじめ、様々なトレーニングを通じてテクニックに磨きをかけ、攻撃的なスタイルで全国上位を狙う豊川高校。今後の躍進が楽しみです!