テクニック
2022年1月15日
卒業生が各カテゴリーで活躍するリベロ津軽SC。全国大会で見せた高い技術を元に創造性を繰り出す秘訣とは?
「第45回全日本U-12サッカー選手権大会」に、青森県代表として5年連続で出場したリベロ津軽SC。アカデミーダイレクターの住谷学氏には、「少人数&狭いスペースでも可能なサッカー脳と技術を鍛えるトレーニング」をテーマに2度COACH UNITED ACADEMYに登場してもらったが、YouTubeの再生回数が2万回を超えるなど、密かな注目を集めている。
2021年末に行われた全日本U-12選手権では、グループリーグ通過は叶わなかったが、初戦のFCアラーラ鹿児島戦で見せた、高い技術をベースとした攻撃的なサッカーは鮮烈な印象を残した。試合後、アカデミーダイレクターの住谷氏に話を聞いた。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)
(グループC、1次ラウンド第1節。FCアラーラ鹿児島(赤)vs リベロ津軽SC(白))
「初戦は硬さがあったが、ある程度自由に進められた」(住谷氏)
個人技に優れた選手を擁し、開催県代表のFCアラーラ鹿児島に3対1で勝利した、リベロ津軽。住谷氏は「初戦ということもあり、少し硬さがあったと思う」と話しながらも「ある程度、やりたいことはできた」と振り返った。
なかでも目を引いたのが、背番号7をつけた青木珀瑠選手のプレーだ。しなやかな体の動き、柔らかなボールタッチ、緩急をつけたドリブルで相手を翻弄し、2ゴールをあげる大活躍。住谷氏も「彼はちょっと違いますよね」と期待を寄せる選手である。
優れた才能を持つ選手だが、そのタレントゆえに、住谷氏は「ここからの指導が大事になる」と先を見据えている。
ジュニア、ジュニアユース、さらには女子のカテゴリーを有するリベロ津軽が大切にしているのが「止める、蹴る、運ぶ」といった、基礎技術の部分だ。
COACH UNITED ACADEMYのトレーニングでも実演してもらったが、「ファーストタッチで正確に止めて、蹴る。そこができないと、周りを観ることや良い判断を発揮することができなくなってしまう」(住谷氏)という考えのもと、サッカー選手のベースとなるジュニア年代だからこそ、基礎技術にはこだわっている。
アラーラ鹿児島戦は「ファーストタッチの置所や、ツータッチ目を素早く触ること、クイックの部分をもうちょっと早くやりたかった」と話しながらも「相手のプレッシャーがあまりなかったおかげでもあって、自由にボールを扱うことができた」と及第点を与えていた。
地理的なハンデがあっても、技術に優れた選手の輩出を常に目指す
リベロ津軽には、青森山田高校で全国優勝し、浦和レッズに進んだ藤原優大選手が在籍していた。住谷氏が直接指導したわけではないが、「小学生の時から170cm以上あり、大きくて速くて、ボールを蹴れる子だった」と印象を語る。
「小学生のときは中盤の選手で、青森山田中学に行ってから、DFに転向しました。小学生の頃から気合と根性はすごかったです。優大の頃は強くて、全日本少年サッカー大会で2次リーグまで進みました」
住谷氏の教え子に、リベロ津軽U-15から埼玉の昌平高校に進み、現在は専修大学で背番号10をつける技巧派の棟方豪郎選手がいる。
「彼は優大とは対照的で、線が細くてマッチ棒みたいだったんです(笑)。でも両足が当たり前に扱えて、非常に技術が高かった。新人戦で優勝した専修大学で10番をつけて活躍していたのでうれしいです」
ほかにも、2018年の全日本U-12サッカー選手権大会に出場していた女子選手3名が、リベロ津軽の女子チーム「フィオーレ」の一員として、フットサルのU-15全国大会に出場するなど、高い技術と判断を身につけた選手たちが、上のカテゴリーで活躍している。
リベロ津軽は青森県弘前市という雪深い地域で活動するクラブだ。住谷氏は「地理的なハンデは間違いなくある」と話すが、そのハンデを吹き飛ばすべく、技術に優れた選手の輩出を目指し、取り組んでいる。
「いまはどの年代にも大きくて、速くてという子がいないので、足元の技術が高く、クイックネスに優れた選手を育てていきたいです。その子達が、中学、高校と進んだときに、どこの指導者が見ても『あれはリベロの選手だね』と言われるようになればいいなと思っています」
アカデミーダイレクターの住谷氏には、COACH UNITED ACADEMYで、技術と判断を高めるトレーニングを紹介してもらった。全日本U-12選手権では、このようなトレーニングを通じ、基礎から積み上げることの大切さを改めて感じさせてくれるプレーぶりだった。
▼▼COACH UNITED ACADEMYで配信している住谷氏のトレーニング詳細動画