テクニック
2022年7月 6日
7分間で学ぶ!U-12の様々な強豪クラブが行うポゼッションを高める「4対2」のトレーニング動画まとめ
「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」では、毎月8本トレーニング動画を配信している。回ごとにテーマを設定しているのだが、今回はジュニア年代の強豪クラブが行う「ポゼッションを高める4対2」のトレーニング動画をまとめた。
Jクラブ、全国レベルの街クラブは、オーソドックスな「4対2」のトレーニングを、どのように実践しているのだろうか?(文・鈴木智之)
ポゼッションを主体とした大宮アルディージャジュニアの4対2
まずは大宮アルディージャジュニアのトレーニングから。指導をするのは元ジュニア監督、現U-18監督の森田浩史氏だ。大宮アルディージャといえば、ポゼッションを主体とした攻撃的なサッカーを標榜するチームとして有名である。
この日のトレーニングでは、ウォーミングアップとして「4対2」を実施。攻撃側はアンダー3タッチで、2人のDFの間を狙う。「DFの間を2本通せば貯金できる」というルールだ。
森田監督は「常に狙いを持ちながらやろう」と話し、選手に「目的はどうしたいの?」と問いかける。
「目的はDFの間を通すことだよね。常にその狙いを持ちながらプレーしよう。自分がボールを受けたときに、間を狙えるかどうかの意識を持ちながらやろう。それがダメなときは、しっかりボールを失わないように動かすこと」
DFには「もっとボールを奪いにいこう」と話し、「その中で攻撃は、DFにギャップができたときに間を狙うこと」とアドバイスをしていく。
さらには「DFの間が狙えなければ、ボールを動かそう」「ボールを持って考えない」などの声かけで、選手のプレーをサポートしていった。指導の内容に加えて、Jクラブの選手たちが、どのようなプレーをするのかを見ることができるトレーニング動画だ。
▼このトレーニングの記事はこちら▼
大宮アルディージャジュニアが徹底している「3つの意識」 / ポゼッションからゴールへの結び付け方
創設6年目の愛知県のジュニアチャンピオンが実施する4対2
2つ目の動画は、愛知県のFC ALONZA。創設6年目ながら、「第45回全日本U-12サッカー選手権大会」や「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー決勝大会2021」に出場するなど、進境著しいクラブだ。
大宮アルディージャと同じく「4対2」を行うのだが、設定が少し変わる。中央に守備2人、外側に攻撃4人ではなく、グリッドの中央に攻撃側を1人配置する。この選手がパスの受け手になり、守備2人を食いつかせる、もしくは守備を外してボールを受ける中継役となる。
鈴木淳也監督は、中央の選手を「バイタル、ポケットを狙う選手」と定義し、「中央の選手にどれだけボールを配球できるか。それと、ボールを失わないことを考えてやっていこう」と説明していく。
さらには、攻撃の選手に対して「守備の位置をしっかり見ること」「いつ、どこのタイミングでボールを受けるか」にも言及。わかりやすいデモンストレーションで動き方を提示している。
鈴木監督は「ボールの受け手が1歩動くことで、前を向けるか、バイタルを取れるかのタイミングになる。ボールの出し手は、そこを見逃さないこと。0.5秒、1歩が受け手の時間の貯金を作ることになるよ」と話し、ボールの出し手に対して「いつでもボールを出せる状態が多ければ、受け手とのタイミングが取りやすくなる」とアドバイスを送っていた。
ジュニア年代において「味方とタイミングをあわせてプレーするとはどういうことか」という観点からも参考になる動画だ。
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愛知のジュニアチャンピオンチームが実践。ポゼッションを高めるカギは「個とグループで優位性」を作ること
九州の強豪街クラブが行う自陣エリアでボールを失わないための4対2
最後はブレイズ熊本U-12・桑原太一監督によるトレーニング。今回の「4対2」では、グリッドの中央にコーンを2つ設置。攻撃側はフリータッチでパスを15本回すか、コーンの間にボールを通せば勝ちとなる。
攻撃側はコーンをまず狙うことによって、守備が中央に絞る。そうするとサイドの味方が空くので、そこへボールを展開しやすくなる。このメカニズムを、4対2の形式で伝えていく。
さらには「ボール保持者を起点に三角形を作ること」「ファーストタッチで両方に蹴ることのできる位置にボールを置くこと」など、ジュニア年代で身につけておきたい個人戦術、技術の指導が含まれているところも見どころだ。
▼このトレーニングの記事はこちら▼
技術の発揮に大切な周りを観る力を身に付ける方法/自陣エリアでボールを失わないポゼッショントレーニング
ここで紹介したトレーニングはすべて「4対2」だが、設定が少しずつ違っており、それによって「何にフォーカスして指導するか」も異なっている。それぞれの動画を参考に、ご自身が指導する選手たちには、どのトレーニングが有効か? を考えながら見てもらうと、より役立つだろう。
【講師】森田浩史/
現役時代はサガン鳥栖、アルビレックス新潟、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府、V・ファーレン長崎、タイのチョンブリなどでFWとしてプレー。引退後の2011年より指導の道に入り、大宮アルディージャのスクールコーチを経て、2013年よりジュニアコーチ、2016年より監督を務める。
【講師】鈴木淳也/
清水商業高校を卒業後、東海リーグで15年間、選手としてプレー。
2016年に設立されたFC ALONZA(愛知県)に設立のタイミングで、指導者としてのキャリアをスタート。
2021年にはクラブ初となる「全日本U-12サッカー選手権大会」、「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー決勝大会」出場に貢献した。
【講師】桑原太一/
1981年4月5日生まれ。佐賀県鳥栖市出身。佐賀で指導者をスタートし、2012年よりブレイズ熊本で活動し、現在11年目を迎える。2017年にはチームの「全日本U-12サッカー大会選手権大会」出場に貢献した。