テクニック
2022年8月26日
日本代表選手も輩出!ゼブラキッズが行うU-12から11人制に繋がるゴール前の攻撃精度を高める練習法
愛媛県代表として、2年連続で「全日本U-12サッカー選手権大会」に出場し、日本代表の鎌田大地(フランクフルト)や東俊希(サンフレッチェ広島)などを輩出するゼブラキッズ。技術と戦術を融合させた選手の輩出を目指し、質の高いトレーニングを行っている。
今回のテーマは「U-12年代から11人制に必要なスキルを身に付ける、オフェンストレーニング」。動画後編では、ゼブラキッズU-12の平家英紀コーチに「ゴール前のフィニッシュの精度を高める練習法」を教えてもらった。
ジュニアからジュニアユースにかけて、11人制へ移行する中で身につけておきたい技術と判断を高めるトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)
(※COACH UNITED 2022年6月6日掲載記事より転載)
ドリブルからシュートを打つ時は、緩急を入れることを意識する
後編最初のトレーニングは「シュートドリル」。ゴールから15m離れた位置にコーンを置いてシュートを行う。
ドリブルでコーンを外し、ゴールめがけてシュートを打つのだが、平家コーチは「意識するのが、ドリブルしながら緩急を入れてコーンを外し、すぐにシュートに持ち込むこと」とデモンストレーション。
「ドリブルからシュートへ、スピードの変化をつけよう。相手を抜くというより、シュートコースを作るイメージ。シュートはゴールの四隅を狙おう」
平家コーチのアドバイスにより、小気味よいドリブルから強烈なシュートが放たれていく。続いて、シュートを打つまでのスピードとボールを動かす位置に言及。
「自分でシュートコースを作ることが大事。ボールをずらした後、すぐにシュートを打てるようにしよう。試合中、前にボールを運ぶと相手に引っかかるので、横にコントロールして、相手を外してシュートを打とう」
次は2人1組でチャレンジ。パス役がコーンに向かってドリブルし、ターンをしてコーンを回ったところで、シュート役が動き出してパスを受け、シュートに持ち込む。
シュート役は相手に見立てたコーンのマークを外すイメージで動き、パスを受ける。平家コーチは「シュート役はトラップでマーカーを外そう」と話し、シュート役、パス役ともに「強いパスを出そう」「シュートも強く」と、ボールスピードを要求していた。
発展形としては、プレー開始のパスを受ける前に、パス役の選手がマークを外す動きをして、パスを受ける。その後、シュート役がファーストタッチでコーンを越えられるような強いパスを出す形がある。
「パスを出すときは、相手に『シュートを打てるよ』というメッセージを込めて、遠い足に強いボールをぶつけよう」
攻守の入れ替わり人が増えていくルールでシュートへの意識を高める
続いては「2対2→3対2→3対3+GK」。2つのゴールに、それぞれGKをセットした2対2からスタート。ボールを持っていない方のチームが相手からボールを奪うか、シュートをGKがキャッチしたら、ボールを保持しているチームに選手が1人入る。
プレーはコーチの配球から始まり、フィールドプレーヤー、GK、スペースと3つの場所のいずれかにパスをしてスタートする。
「1つ前のトレーニングを思い出し、後方からのパスを受けて、コントロールして相手の守備ラインを越えるイメージでプレーしよう」
このトレーニングでは、攻守が入れ替わり、選手が増えていく中で、シュートを目指したパスの質、コントロールの質など、これまで取り組んできた技術、判断を実戦形式で磨いていく。
平家コーチは「目の前のマークをコントロールで外して、シュートに持ち込もう。ゴールを意識して、ポジションをとろう」と話し、「ボール保持者に対して寄せが来なければ、最初のトレーニングでやったように、ドリブルで持ち出して相手を外してシュートコースを作り、シュートに持ち込もう」といった声掛けで、シュートへの意識を高めていく。
ゴール前では「スルーパス」が出しやすいポジショニングをとる
最後は「5対5+1フリーマン」。コーチがGKに配球してスタートするのだが、これはGKを使ったビルドアップでプレーを始めることが狙いだ。
ここでは「パスを出す人と受ける人のタイミングを合わせていこう」と話し、「ボールを持っている人はまずゴールを狙い、周りの人は強く、はっきりアクションを起こすことで、スルーパスが出しやすくなる」などのアドバイスを送っていた。
平家コーチはプレーを見ながら「すぐにポジションをとる」「前向きになれそうな人は誰?」などの声をかけ、フォーカスすべきポイントに意識を向けさせていく。
また攻撃の選手に対して、守備の間に積極的に入っていくことや、ボール保持者がゴールを狙いながらプレーすることで、スルーパスが効果的になることなどを伝えていった。
平家コーチは次のように話し、トレーニングを締めくくった。
「ゴール前の攻防はスキルが必要になります。根気よくトレーニングし、成功と失敗を繰り返してチャレンジする中で、成長が見られると思います。ぜひ参考にしてみてください」
平家コーチは動画の中で、選手のミスを指摘するのではなく、良いプレーにフォーカスして「ナイスチャレンジだぞ」などの声をかけていた。このあたりの声掛けの内容、タイミングなども参考にしていただけると、より良い指導につながるだろう。
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【講師】平家英紀/
日本文理大学を卒業後、FC今治でプレー。
引退後は、FCゼブラで指導者としてのキャリアをスタートし、U-8~12年代を幅広く指導。2020年、2021年には、2年連続愛媛県代表として、チームを「全日本U-12サッカー選手権大会」出場に導く。JFA公認A級ジェネラル所持。