テクニック
2022年10月23日
全国ベスト8の強豪街クラブが実践!ドリブルやプレースピードを速めるアウトサイドを使ったトレーニング
昨今のサッカーは素早いプレスが主流になり、ボール保持の時間やスペースが限られる中で、効果的なプレーをすることの重要性が高まっている。
そこで今回は昨年の「第45回全日本U-12サッカー選手権大会」でベスト8に入り、群馬県の強豪として、全国的に有名なファナティコスU-12の山本諒コーチに「ドリブルやプレースピードを速める、アウトサイドを使ったトレーニング」を教えてもらった。
狭いスペースで時間をかけずに次の動作に移るための、アウトサイドの活用法を参考にしてほしい。(文・鈴木智之)
(※COACH UNITED 2022年6月27日掲載記事より転載)
ボールを動かすときはアウトサイドを使うことを意識する
山本コーチはファナティコスのOBで、ジュニア時代は小柏剛(北海道コンサドーレ札幌)、奥抜侃志(大宮アルディージャ)とともにプレーを経験。高校卒業後、指導の道に入った。
トレーニング開始前、山本コーチは「ファナティコスでは、ボールを支配するスタイルを目指しています。ゴール前や中盤のエリアでは、ドリブルも大切にしています」と話し、1つ目のメニューに入っていった。
アウトサイドを使ったドリブルやプレーの動作スピードを高めるトレーニング。まずは「2人組の対面パス」から。設定としては、選手が2m離れて、対面パスを実施する。
「このトレーニングのポイントは、アウトサイドの使い方とボールを置く場所です。次のプレーに進みやすい、ボールの置き場所を意識してコーチングします」(山本コーチ)
まずは選手が向かい合い、マーカーの間にパスを通していく。その際に、インサイドでボールを止め、次にアウトサイドで外側にボールを持ち出し、インサイドでキックするという流れを指定。全員が同じ動作でプレーしていく。
山本コーチは「トラップをするとき、インサイドでボールを止めた足を地面につけないこと。連続性を持ってアウトサイドに持ち出して、インサイドでパスを出そう」とアドバイス。さらに、デモンストレーションを交えて説明していく。
「インサイドでボールに触った後、アウトサイドでボールを動かすときの、ボールの置き場所が大事。キックするときは、インサイドを丁寧に押し出そう」
動画ではパスを30本実施。山本コーチはプレーにシンクロしながら「アウトの2タッチ目を速く」「インサイドを丁寧に」「足を地面につけないように」などの声をかけ、意識付けをしていく。
次は選手間の距離を10mにチェンジ。
ここでは「良いパスは、良いボールの置き場所から始まる」と、ボールの置き所の重要性を伝え、「インサイドのトラップは、ボールが前に転がらないように、(足を上から下におろすイメージで)カットして止める」と、お手本を見せていく。
2つ目のトレーニングは「3人組パス&ターン」。10mの距離で3人が並んで立ち、中央の選手は前後から来るボールに対して、インサイド、アウトサイドでターンしてパスを出す。
ポイントは「ボールが来る力と自分が寄る力を使うこと」と「ジャンプして空中で方向を変えること」。さらに山本コーチはボールに横回転をかけて、その場で止める技術も披露。子どもたちに、見て真似をさせることで上達をうながしていく。
相手を惑わずにはインサイドとアウトサイドのキックを使い分ける
続いてのトレーニングは「6対2」。8m四方のグリッドで実施し、攻撃側はグリッド中央に設置されたコーンに、インサイドキックでボールを当てたら勝ちとなる。
このトレーニングは、最初のメニューで行ったボールコントロールやインサイド、アウトサイドのキックを使い分けることで守備の隙を突き、中央のコーンへボールを当てることがポイントになる。
「攻撃側はドリブルやパスで相手を食いつかせて、守備2人の間にボールを通してコーンを狙おう。守備はチャレンジ&カバーをすること。その連続だよ」(山本コーチ)
山本コーチは攻撃側に「どうやって相手を釣り出す?」と声をかけ、守備側には「どこで(インターセプトを)狙う?」など、グループとして意識を統一させることにもアプローチしていた。
さらに、攻撃側にパターンを提示。「選手を一人飛ばしたパスをして、落としたボールを受けてダイレクトパスでコーンを狙う」とヒントを与えていた。
「攻撃の選手が速いリズムでプレーすると、守備2人の間を通すことができる。2人目、3人目が関わりながらやろう」(山本コーチ)
前編最後のトレーニングは「ターン→シュート」。ゴール前でパスを受け、インサイド、アウトサイドでターンをして、コーンを外してシュートを打つ。これまでトレーニングしてきたトラップ、キックをゴール前のシチュエーションで発揮していく。
ここでも「良いシュートを打てる、ボールの置き場所を意識しよう」とアドバイスを送り、芝の上をボールが転がるように、アウトサイドで低くて強いボールを蹴ることや、3種類のターンを使うことにもチャレンジしていった。
盛りだくさんの前編はここまで。山本コーチは「前編では、アウトサイドの置き場所を高めるトレーニングを行いました。このトレーニングは、どこにボールを置けば、プレーの連続性が出るか、相手の逆をとることができるかを意識付けするコーチングが大切になります」と総括した。
後編では「アウトサイドを使ったフィニッシュ」のトレーニングを行っていく。
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【講師】山本諒/
1999年5月31日生まれ。ジュニア時代の6年間、ファナティコスに所属し、小柏剛(北海道コンサドーレ札幌)や奥抜侃志(大宮アルディージャ)とともにプレーした。高校卒業後にOBであるファナティコスで指導者としてのキャリアをスタートさせ、現在5年目を迎える。