テクニック

2023年5月21日

様々な1対1で守備に移るスピードを早める。素早い攻守の切り替えからシュートまで持ち込むトレーニング

セレクションを実施しない街クラブながら、2年連続で「全日本U-12サッカー選手権大会」に出場しているフォルツァ松本FC(長野県)。同クラブは個で局面を打開し、マイボールの時間を長くすることや、攻守の切り替えの早さを重視してトレーニングを実施している。

強度の高いプレーを続け、素早い攻守の切り替えを身につけるためのトレーニングを、U-12でコーチを務める新村大介氏に実践してもらった。

前編のテーマは「ゴールを意識しながら切り替えのスピードを高める、1対1のトレーニング」。個の技術と判断に働きかけるトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2022年10月24日掲載記事より転載)

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マイボールが奪われた瞬間、すぐに守備に移ることを習慣化させる

新村コーチは「このトレーニングでは、攻撃から守備への素早い切り替えを意識させ、どれだけ守備への反応を早くさせるか。ゴール前でどのように仕掛けていくかに重点を置いてコーチングしていきます」と話し、「1対1」のトレーニングに移っていった。

設定としては、30m×15mのグリッドで1対1を実施。両方のエリアにゴールとGKを設置し、1対1の状況で相手をかわし、ゴールを目指す。

新村コーチは「ゴール前の設定なので、どういうドリブルをするかを大事にしよう。シュートを打った後に、次の選手に対してディフェンスに入るところもしっかりやろう」と声をかけ、トレーニングがスタートした。

ここでは、選手のプレーを見ながら、仕掛けからフィニッシュまで素早く行い、ボールを奪われた後の切り替えを意識するコーチングを実施。選手たちは、シュートが外れた後に、守備へと素早くプレーを切り替えていく。

さらには、途中でプレーを止め、「目的は突破ではなく、ゴールを狙うこと。相手を抜かなくてはいけないと考えるのではなく、ゴールを取るためにドリブルをしよう。抜ききらなくていいよ。思い切ってシュートを打つことにもトライしてみよう」と、判断と積極性にフォーカスしたコーチングを実施していった。

同じ練習内容でもボールの配給の仕方を変える

2つ目のトレーニングは「1対1+パス」。グリッドは1つ目と同じだが、スタート時の設定が変わる。攻撃側の選手は横からのパスを受け、1対1がスタート。シュートが決まる、もしくは外れたら、次の選手が素早く出てきてプレーが始まる。

ここで新村コーチは「パスを呼び込もう」「ゴールを意識して」などの声をかけるとともに、「どこでパスがほしいか」を、パスの受け手が出し手に要求することを強調。さらに、相手の背後でボールを受けようとした選手に対し「裏を取りに行こうとするのはナイス」と褒めていた。

ほかにも、相手の裏を取りに行く動きに対してDFが食いついたら、空いたスペースに入って足元でパスを受けるなど、デモンストレーションを交えて説明していく。

3つ目のトレーニングは「1対1+スローイン」。2つ目のトレーニングのスタートは横からのパスだったが、ここではスローインに変えて実施。スタートが浮き球になったことで、ボールコントロールの難易度が上がる。試合でよくあるシチュエーションだ。

選手たちは土のグラウンドでイレギュラーバウンドする中、正確な技術でボールをコントロールしていく。新村コーチは「ボールタッチを大事にして、シュートまで運ぼう」「ボールを要求しよう」などの声かけでプレーを導いていった。

動画では、利き足を考慮したドリブルのコース選択なども指導しているので、参考にしてほしい。

前編のトレーニングはここまで。新村コーチはプレーのポイントを以下のように話し、トレーニングを締めくくった。

「このトレーニングでは、自分のボールから相手のボールになった瞬間、少しでも早く守備の動きに入ることが重要になります。攻撃面では、相手DFの状況を見て、フィニッシュに持ち込むことも大切です」

後編では1対1をベースに、人数を増やしながらトレーニングを行っていく。

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【講師】新村大介/
2017年からフォルツァ松本で指導者としての活動をスタート。
キッズ、U-7、U-8で指導経験を積み、現在はU-12でコーチを務める。
2020年、2021年には長野県代表としてチームの2年連続での「全日本U-12サッカー選手権大会」出場に貢献した。

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