テクニック

2023年7月31日

ボールを奪ってからの攻撃は2対1の状況を作る/ショートカウンターからシュートまで持ち込むトレーニング

COACH UNITED ACADEMYでは、福岡県の強豪、福岡BUDDY FC U-12の村上将平コーチによる「ショートカウンターから、フィニッシュまで持ち込むトレーニング」を公開中。

後編では「予測してボールを奪ってから、攻撃を展開する実戦練習」をテーマに実施してもらった。フットサルコートで展開できる練習なので、普段、フルピッチでトレーニングできないチームでも実践できる内容になっている。(文・鈴木智之)

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1人目がパスコースを限定し、2人目がインターセプトを狙う

後編最初のトレーニングは「2対2+GK」。GKからのパスでプレーがスタートし、最初にボールを保持して攻めるチームは、自陣と敵陣で1人ずつしかプレーできない。守備側として待ち受けるチームは敵陣1人、自陣1人のスタートポジションで始めるが、両方のエリアでプレーしてOKというルールだ。

最初にボールを保持して始めるチームは、GKを使った2対1で自陣からボールを敵陣に前進させ、1対1の状況からシュートに持ち込むことを目指す。守備側はインターセプトして敵陣に進入し、2対1(+GK)の状況でフィニッシュまで持っていく。

村上コーチは選手たちに「DFは何が大事?」と質問し、こう続ける。

「攻撃側は前(ゴール)を目指している。1人目のDFはコースを限定し、2人目のDFがインターセプトしよう。守備の目的は狙い通りに相手を追い込み、ボールを奪うこと。1人目のDFが抜かれると、2対1の数的不利になってしまう。まずは抜かれないように、パスコースを限定しよう」

1人目のDFがボールを奪いに行き、かわされると攻撃側がチャンスになる。それを防ぐために、1人目のDFがパスコースを限定し、縦パスを入れさせておいて、2人目がインターセプト。そのままドリブルで持ち上がり、2対1でフィニッシュまで持ち込むのが理想だ。

村上コーチのアドバイス通り、攻撃側の選手をサイドに追い込み、インターセプトにチャレンジした選手に「良い狙い!」と声をかけていた。

さらにはプレーを止めて、1人目のDFの動き方をアドバイス。GKがボールを持った際に、パスコースを限定して、2人目がインターセプトしやすくなる動きを説明している。これはぜひ動画で確認してほしい。

村上コーチのアドバイスを受けた選手たちの守備のポジショニング、ボール奪取の狙いが、徐々に良くなっていく。

続いては、攻撃側にもヒントを与えていく。それが「ボールを奪って攻め込むときは、1対1ではなく、2対1を作ること」だ。ボールを奪ってカウンターの形でドリブルする選手は、上がってくる味方がいたらスピードを緩めて、2対1の数的優位を作る。その方がプレーの選択肢が広がり、ゴールを奪いやすくなる。このように認知、判断の重要性にも働きかけていった。

マークは相手の行く先を塞ぐようにポジションをとることが重要

続いては「3対3(+GK)」。GKへのパスは禁止。オフサイドなしというルールだ。ここでは数的同数の状況で、攻撃、守備ともに周囲の選手との関わりの中でプレーしていくことがテーマとなる。

選手たちのプレーを見ていた村上コーチは、守備の仕方についてアドバイスを送っていく。

「マークはしているけど、相手について行っているだけになっているよ。相手をどう追い込んで、どこでボールを奪うというイメージがなかったら、攻撃側に振り回されてしまうよ」

これは、ジュニアの試合でよく見られるプレーだ。マークする相手について行ってはいるが、何も考えずに追っているだけなので、対応で後手を踏んでしまう。

「鬼ごっこと一緒で、相手の動き出しが先だとやられてしまう。相手の行く先を塞ぐようにポジションをとることで、追い込めるようになるよ」

村上コーチの的確な指導により、選手のプレーが変わっていく。さらには攻守の切り替えスピードにも言及。局面が激しく移り変わる中で、瞬時に状況を判断し、的確なプレーを選択する環境を作り上げていく。

・「相手の攻撃を遅らせるときと、プレスに行くときのメリハリをつけよう」
・「どうやって相手を追い込んでいく?」
・「ファーストDFは誰? はっきりするために『OK!』と言おう」

そして、GKがドリブルで持ち上がったところでプレーをストップ。パスコースを見ながら、抜かれないためのポジショニングについてアドバイスしていく。

ここでは、スペースの有無とともにプレスに行く、行かないを判断すること。後方の選手と連動して奪いに行くことなどを説明しているので、詳細は動画で確認してほしい。

最後に、村上コーチは次のようにメッセージを送り、トレーニングを締めくくった。

「今回、紹介したトレーニングは、チャレンジする守備が多いので、失点につながるミスも出ます。しかし、チャレンジすることで、自分の間合いや『ここまで行くと、裏を取られるんだ』といったことを、体験することができます。チャレンジしたプレーは褒めて、経験を積ませることが大切です。ぜひ参考にしてみてください」

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【講師】村上将平/
福岡BUDDY FC、東福岡高校で選手としてプレー。
20歳から出身クラブである福岡BUDDY FCで指導者を初め、現在11年目を迎える。

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