テクニック
2023年12月30日
「第102回全国高校サッカー選手権大会」に出場する4チームのトレーニング動画まとめ
今年も「全国高校サッカー選手権大会」が始まる。COACH UNITED ACADEMYでは、今回の選手権に出場する4チーム(帝京長岡、富山第一、飯塚、大津)のトレーニング映像を公開中だ。
新潟、富山、福岡、熊本と、日本各地の強豪校のトレーニングを一度に観ることができるのは、COACH UNITED ACADEMYのオリジナルコンテンツならではと言える。
今回は、ここに挙げた4チームのトレーニング動画の見どころを一挙に紹介したい。全国レベルの高校では、どのようなトレーニングを行っているのだろうか?
選手権シーズンにうってつけの動画を観て、指導のレベルアップに役立てていただければと思う。(文・鈴木智之)
(※COACH UNITEDからの転載記事になります)
新潟県代表「帝京長岡高校」
酒井宣福選手(名古屋グランパス)や、小塚和季(水原三星ブルーウィングス)といったプロを輩出する帝京長岡から。
ヘッドコーチを務めていた、西田勝彦氏(当時。現アラグランデFC)によるトレーニング。テーマは「フィニッシュゾーンでのコンビネーションを磨くためのトレーニング」だ。
まずは「ひし形のパス&コントロール」を通じて、パスの出し手と受け手のコンビネーションを合わせていく。さらには「クロスオーバーの動き」を強調し、プレーにスピード感とダイナミックさを加えていく。
続く「4対2」のトレーニングでは、「DFの間にパスを通し、落としを受けてラインを突破する」という設定で実施。狭いスペースをコンビネーションで打開していく、帝京長岡らしいスタイルにつながるトレーニングだ。
ほかにも「5人組でのシュート」では、ゴール前の密集した状態から、5人がイメージを合わせてシュートに持ち込むためのトレーニングが収録されている。
こちらも、ゴール前の密集に怯むことなく、果敢に攻撃を仕掛ける、帝京長岡らしさが詰まったトレーニングだ。
▼帝京長岡高校のトレーニングの詳細はこちら▼
帝京長岡高校のフィニッシュゾーンでコンビネーションを高めるパス&コントロールとシュートトレーニング
富山県代表「富山第一高校」
2014年大会の優勝校、富山第一は「ハイプレスから素早い攻撃へ展開する実戦方法」をテーマにトレーニングを実施。高体連のトップレベルともなると、ハイプレスから素早い攻撃への切り替えは欠かすことができない。
COACH UNITED ACADEMYでは、チームを全国優勝に導いた、大塚一朗監督(当時。現モンゴル代表監督)のトレーニングを視聴することができる。プレミアリーグのウェストハムで指導を学び、2018年にはAFC proライセンスを取得した大塚一朗監督の考え方は、非常に参考になる。
たとえば、グラウンドを14のゾーンに分け、「得点はペナルティエリアの手前中央を通過して生まれる」との分析から、「フリーマンを用いた1対1」を行い、攻守両面における判断、対人の強さを養っていた。
「1対1」で個人戦術にアプローチした後、ゲーム形式の「ハーフコートゲーム」に突入。攻撃側は5-3-2、守備側は4-4-2で行い、狭いスペースをどう打開するか。あるいはどうゴールを守るかにアプローチしていく。
高校年代における、チーム戦術の導入の仕方を知る上でも、非常に参考になる動画だ。
▼富山第一高校のトレーニングの詳細はこちら▼
自陣中央にボールを入れさせないためのポジショニング/富山第一高校のバイタルエリアを攻略するトレーニング
福岡県代表「飯塚高校」
福岡の新興校として、注目を集める飯塚。長年、王者に君臨してきた東福岡高校に変わり、存在感を発揮している。
トレーニングのテーマは「サッカーIQが高まるポゼッショントレーニング」。まずは「3対1のパス回し(ワンタッチ)」を通じて、素早い予測、判断、ポジショニングを高め、その上で正確な技術の発揮を求めていく。
続く「4対2」を経て「3対3+2フリーマン」では、正方形に並べた隣り合う4つのグリッド内で2人のフリーマンを使いながら、パスをつなぐトレーニングを実施。
グリッド内に味方がいるときはワンタッチでパス。いないときはドリブルで運ぶ(ドライブ)を瞬時に選択することがポイントになる。
中辻喜敬監督は「ドライブ(前方へ運ぶドリブル)で入る、ワンタッチのパスで入ることを実現するために、観ることがテーマになります」と説明する。
ほかに「パスは後ろ足(相手DFから遠い方の足)に出す」など、わかりやすく、テンポの良いコーチングをする中辻監督の言葉を聞いて、指導のイメージを膨らませてほしい。
▼飯塚高校のトレーニングの詳細はこちら▼
パスを繋ぐコツは「受け手に近寄る位置取り」と「遅いパス」/飯塚高校が実践するポゼッショントレーニング
熊本県代表「大津高校」
谷口彰悟(アル・ラーヤン)や、植田直通(鹿島アントラーズ)を輩出する一昨年度の準優勝校・大津のトレーニングは「フィジカル・ボール・シンキングを高める基礎練習」。
大津は「100分間トレーニング」で有名だが、それは集中力を最後まで切らさず、トレーニングをするためだという。
トレーニングは「Y字形のパス&コントール」から。受け手と出し手の呼吸を合わせるために、互いに目を合わせて、どこに走り、どこにパスを出すかをすり合わせていく。
さらに、足を振ってボールを蹴るのではなく、押し出すイメージでプレーするのもポイントのひとつ。ディテールにこだわることで、素早く正確なプレーを可能にしていく。
ゲーム形式の「8対8」では、ハーフコートを横向きにしたサイズで行い、グラウンドを囲むように8人のサーバーを設置。そのため、ボールがタッチラインを割る回数が減り、常に高強度でプレーすることが求められる。
これもハイインテンシティでのプレーを続けるための工夫と言えるだろう。
以上が強豪校のトレーニングだ。選手権でのプレーを観ながら、その背景にはどのようなトレーニングがあるのかを想像するのも、指導力アップにつながる。
試合を観て、COACH UNITED ACADEMYのトレーニングを観るも良し。COACH UNITED ACADEMYのトレーニングを観て、試合でどのような形で表現されているのかを観るのもおもしろいだろう。
ぜひ様々な角度から選手権に出場するチームの動画を視聴し、指導力向上に役立ててほしい。
▼大津高校のトレーニングの詳細はこちら▼
50名近くのJリーガーを輩出した大津高校。100分トレーニングで3つの要素の速さと正確さを高める方法とは?