テクニック
2024年1月 7日
2度目の出場で全国大会準優勝。大会1失点で3つのJクラブを倒したFCアロンザの堅守と攻撃の強さ
2023年末に行われた、「第47回全日本U-12サッカー選手権大会」。育成年代の指導法を幅広く動画で紹介する「COACH UNITED ACADEMY」に出演経験のあるクラブ・指導者も多数出場した。
2度目の出場で準優勝に輝いたのが、愛知県代表のFC ALONZA(アロンザ)。堅守と攻撃が高いレベルで融合したチームの戦いを振り返る。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)
(COACH UNITEDからの転載記事になります)
(ラウンド16。FCアロンザ(赤)vs 太陽SC(白))
球際の強さやアジリティで、Jクラブを圧倒するチーム作り
FCアロンザは、最終ラインの砦とも言える柴田健琉選手を中心に、決勝戦までの6試合を無失点で勝ち上がってきた。
(守備の要として活躍した背番号6、柴田健琉選手)
攻撃ではキャプテンの田中綸太郎選手、ドリブルで相手を切り裂く山田魁慈選手を中心に、鮮烈な印象を残した。
グループリーグは浦和レッズ、サガン鳥栖、そして前年3位のアッズーロ(滋賀)と同じ"死のグループ"ながら、3連勝で堂々1位通過。
決勝戦まで上り詰めるに当たり、山場となったのが、準々決勝のジェフユナイテッド千葉U-12戦だ。
最終ラインに強さを見せるジェフに対し、アロンザは一歩も引かずに対抗。田中選手、山田選手がゴールを決め、2対0で勝利した。
(FCアロンザのキャプテン田中綸太郎選手)
愛知県大会決勝で名古屋グランパスU-12を5-1で破ったところから数えると、通算4チーム目の対Jクラブ戦勝利である。
深江監督はJクラブとの戦いについて「Jの選手はフィジカルもある一方、クイックネスや細かい動きが弱みになるところもある。そこはうちの強みなので、うまくはまれば、Jクラブにも対抗できる」と話していたが、
ジェフ戦でも、深江監督いわく「踊るようなドリブルをする」という山田選手を筆頭に、クイックネスやアジリティ面で優位に立っていた。
(大会中にインタビューを受ける深江監督)
難敵を撃破したことで勢いに乗ったアロンザ。準決勝では、優勝候補のエクセレントフィート(埼玉県)に勝利してベスト4に進出したFCリバース(愛媛)に3-0で完勝し、決勝戦へ進んだ。
「自分がやりたいプレーと、チームでやるべきことを理解できている」(深江監督)
決勝戦では、最初に迎えたビッグチャンスを決めることができず、その後、ソレッソ熊本に先制を許してしまう。
最後まで攻め立てたがゴールを奪うことはできず、大会初失点が相手の決勝点となり、準優勝に終わった。
深江監督はグループリーグ終了後、「(全国の舞台でも)攻守の切り替えからゴールへ向かう速さなど、選手それぞれが持っている特徴を生かしながらプレーできている」と話していたが、アロンザの選手たちは個々に異なる特徴を持っており、プレーで自己紹介ができる選手が揃っていた。
(背番号10、山田魁慈選手)
深江監督も「選手の持ち味であったり、個性を発揮するところは、かなり意識しています」と話す。
「誰がボールを運ぶのか、誰がボールを回収するのか。誰が点を取るのか。選手たちには、チームの中で自分がやりたいプレーと、チームでやるべきことを伝えています。彼らはそこを理解しながらやれているのかなと思います」
アロンザにはジュニアユースのカテゴリーがある。今大会に出場したU-12には、多くのタレントが揃っていたが「ほとんどがうちのジュニアユースに進む」(深江監督)という。
「ジュニアユースを立ち上げる時に、Jクラブの方にも『中学の3年間での成長を見てください』という話をさせてもらいました。中学年代で伸びた先に、Jクラブのユースや高体連に繋がると思うので、クラブのコンセプトや考え方を説明して、良い形で連携をとらせてもらっています」
ジュニアユースを指導するのは、COACH UNITED ACADEMYに出演している鈴木淳也コーチ。技術、戦術指導に定評のある鈴木コーチのもと、選手たちはさらなる成長を見せてくれるだろう。
ジュニアユースでの活躍とともに、彼らの今後が楽しみだ。