テクニック
2024年1月29日
「積み重ねてきたことは随所に出せた」。前回大会3位の街クラブが全国の舞台で感じた通用する部分と反省点
2023年末に行われた、「第47回全日本U-12サッカー選手権大会」。育成年代の指導法を幅広く動画で紹介する「COACH UNITED ACADEMY」に出演経験のあるクラブ・指導者も多数出場した。
2022年度の大会でベスト4に進んだアッズーロ(滋賀)が、今年度も出場を果たした。今大会は前年ベスト4のうち、3チームが都道府県大会で敗退しており、唯一の2年連続出場となった。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)
(グループE 第2節。アッズーロ(黄色)vs サガン鳥栖(白))
「攻撃の変化を加えることが足りなかったです」(古荘監督)
アッズーロはグループリーグで浦和レッズ、サガン鳥栖というJクラブに加え、準優勝することになるFCアロンザ(愛知)と同組。ハイレベルな相手としのぎを削りながら、3敗で大会を後にした。
「COACH UNITED ACADEMY」にも出場経験のある、古荘隆徳監督はサガン鳥栖戦(0-3)後、「うちらしさが、あまり出せなかったです」と語った。
(サガン鳥栖後にインタビューを受ける柴原監督)
「駆け引きや判断の部分で、観ている人におもしろいと思ってもらえるサッカーを目指しているのですが、今回はあまり出せなかったですね。縦に縦にっていうのはあったので、もうちょっと緩やかなとこからギュッと縦に入ったり、ドリブルを見せながらパスを入れたりとか、変化をつけた攻撃がしたかったです」
攻撃面で気を吐いたのが、サイド突破でチャンスを作った、7番の大原礼暉選手とキャプテンで10番をつける重野大智選手。
古荘監督は「うちのストロングポイントは両サイドのスピード」と話すとおり、大原選手のドリブルは鋭い切れ味を見せていた。
(アッズーロの7番、大原礼暉選手)
「彼はもともと中の選手だったんですけど、全国で戦うにはサイドの武器が必要だと思ったので、夏にコンバートしました」
相手の逆をとる「駆け引き」は随所に出せていた
古荘監督には、COACH UNITED ACADEMYで「1対1とパスを併用して、目の前のDFを攻略するトレーニング」を実施してもらったが、この試合に関しては「7番は体の向きを意識しながら、ドリブルで持ち上がるプレーが随所に出ていました。10番も相手の重心をずらして、逆をつくプレーは出せていたのかなと思います」と成果を口にした。
(アッズーロの10番、重野大智選手)
普段から「ボールを持った時の判断を重視して、指導にあたっている」と話す、古荘監督。COACH UNITED ACADEMYのトレーニングでも「相手の重心を揺さぶるためには、どういう手段がある?」「相手を観察して、どうやって騙す?」などの声をかけていた。
今大会、得点こそなかったが、Jクラブ相手に通用する場面もあり、日頃のトレーニングの積み重ねを感じさせた。
一方で反省として「例年はゴールキーパーからビルドアップしながら攻めて行くのですが、今回は前に早く蹴ることが多かった。突破力のある選手に、安定してボールが配球できなかった」と悔やんだ。
古荘監督は明確な指導方針のもと、正確な技術の習得や判断など、サッカーに必要な要素を丁寧に指導している。次大会での巻き返しが楽しみだ。