考える力

2010年12月 6日

サッカー「脳」を鍛えよう-選手自身が「考える」ことの重要性

スコットランドなどでのコーチ経験も持つナイキエリートトレーニングのコーチ、リー・マンソンさんに、サッカーのプレーに必要とされる「思考」「判断」は、どのような必要性を持ち、どのように養われるべきかについて、話を聞きました。

■小学生年代の選手に必要なのは、結果ではなく自由にプレーすること

「小学生年代の選手において、ゲームのなかで自分はどのような持ち味を発揮できるかを知り、経験を重ねながらプレーの引き出しを増やしていくことが大切です」。

リーさんのトレーニングでは、こういう時はこうプレーしなさいという指示は一切しません。チャレンジした結果失敗しても、責めることをしません。失敗した時にはどうして失敗したかを考えさせ、どうすれば成功したかを考えて次に実践できるよう即すという方法をとっています。

「私はまず理想的なプレーのデモンストレーションを選手たちに披露します。その後、同じシチュエーションでプレーさせ、失敗をおかしてしまった場合はプレーを止めさせます。そして、質問をするのです。今、どういうプレーを意図していたか。何を狙っていたか。そして改善点を考えさせ、いくつもある選択肢のなかから、ベストな選択を次に選べるよう選手にアドバイスしていくのです」

リーさんは、サッカーにおいて正しい解答はひとつではないと言います。選手に対して断定的な指示を出してしまえば、その選手は考えてることをやめてしまうと言います。そこで、常に選手が考えられる状況をつくってあげることが、コーチの役目だと考えているのです。

「選手が考えを育むことが出来る環境というのは、意図的に作り出せるものです。例えば小さいサイズのピッチで素早いテンポで練習を行えば、常にボールと近い場所に選手がいることになり、次々と考えて判断しなければならない場面がやってきます。さらには少ない人数でプレーさせるのも有効です。10人でプレーするより6人でプレーした方がボールに関与する時間は増え、攻守において考える時間が増加するのです」

試合で、効果的な思考をめぐらせ、正しい判断を下すためには、日頃の練習で「考える」トレーニングを積んでいなければなりません。そのために、常に「考える」環境を設定する必要があるとリーさんは言います。

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