考える力

2011年5月11日

シャビを育てた元バルセロナカンテラコーチの教えに迫る!<3> U12クリニックに見る『認知・判断・実行』について①

サッカーにおいて、いい選手というのは、ひとりですべて解決できる選手のことではありません。いい選手とは、周りにいる仲間といっしょにプレーできる選手です。それができれば、みんなはもっといい選手になれると思います。試合中、攻めているときは、自分だけでなく、周りの選手と一緒にプレーをすることが大切です。ディフェンスをするときも同じです。だからこそ、相撲とサッカーはまったく違うスポーツなのです。

私がかつて仕事をしていた、FCバルセロナ(スペイン)の例を紹介します。バルサの選手たちは、チーム全員が同じ方向を見てプレーしています。バルサの選手はボールを受ける前に周りを見て、ボールが来たら、味方へパスをします。次の選手もボールを受ける前に周りの選手を見て、ボールが来たらパスをつなぎます。このように、バルサは選手全員が力をあわせてプレーしています

■世界一の選手になりたいのならば、周りの選手を助け、周りの選手に助けてもらえる選手を目指そう

今は世界中、どのチームもバルサのようにプレーしたいと考えています。世界中のチームの憧れといってもいいでしょう。もし、サッカーしている子どもたちが、いつかバルサでプレーしたいと思っているのであれば、一つだけ覚えてほしいことがあります。それは「サッカーはチームスポーツだ」ということです。

2011年の1月にメッシがバロンドールを獲得しました。候補の2番目がイニエスタ、3番目がシャビでした。もし、この3人が違うチームでプレーしていたら、メッシはバロンドールをとれていたと思いますか? 答えはおそらくNOでしょう。

サッカーが相撲と同じタイプのスポーツであれば、メッシは誰と戦っても勝てるかもしれません。しかし、繰り返しお伝えしているとおり、サッカーはチームスポーツです。メッシ、イニエスタ、シャビはお互いがお互いを必要とし、助けています。もしメッシがシャビと一緒にプレーしていなかったら、いま決めているゴールの半分ほどしか決めることができなかったかもしれません。

メッシはアルゼンチン代表では、バルサほどいいプレーをすることができません。アルゼンチンの人の中には、「メッシはアルゼンチン代表でプレーしたくないから、バルサでやっているときほどの活躍はできないんだ」という人がいます。しかし、メッシはアルゼンチン代表でも最高のプレーをしたいと思っているはずです。アルゼンチン人である以上、アルゼンチン代表で活躍したいと思う気持ちがあるのは当然です。では、メッシがアルゼンチン代表でプレーするときに、なにが足りないのでしょうか? 

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