考える力

2011年7月 9日

バルセロナ流、サッカーがうまくなる考え方―『知のサッカー』特別対談Part2

最終ラインの選手は、前線とタイミングを合わせるために、パスを回しているんです。ボールを持っている選手は、動いている人のタイミングに合わせてパスを出す。自由自在にパスを回すために、コントロールする瞬間に、いい体の向きを作って、すぐにインサイドキックで蹴れるところにボールを置く。それを徹底的にやっていたのではないかという気がしました」

■パスとドリブル、手法は違うけど、考え方は同じ

鈴木「ジョアンのクリニックでも、パス&コントロールの練習はやっていましたね。パスを受ける身体の向きや角度に応じて、どちらの足で受けるかを指導していました。いい判断を活かすためにも、正確なコントロールや身体の向きが必要で、サッカーのレベルが上がるに連れて、その辺りの重要性も高まってきています」

川島「それは、スペインがW杯で優勝した影響もあるでしょうね。僕らのチームは、自由自在にボールが扱えるようになれば、相手がボールを取りに来ても慌てなくて済むという考えのもと、ドリブルのトレーニングに時間を割いています。

相手に寄せられても取られない自信があれば視野も広がるし、堂々としていられます。それと同じように、相手が来てもパスを通せるという自信があれば、寄せられても、恐れずにパスを出しますよね。

パスとドリブル、手法は違うけど、考え方は同じです。どちらもうまくできるようになれば、いい判断をする余裕ができます。ジョアンの指導は実戦に近い、敵がいて味方がいるという状況を通じて、技術を獲得しようという意識が強いのかなと思いました」

鈴木「ジョアンは、周りの選手がいいサポートをすれば、ボールを持っている選手がよりプレーしやすくなるという考えを持っていると思います。ドリブルのトレーニング中も、周りの選手が味方の進むコースを開けて、そこにドリブルで入っていけば、チャンスになると指導していました」

川島「ドリブルを中心に指導していると、必ず行き当たる壁があるんです。それは何かというと、ボールを持った子だけがドリブルをして、その他のボールを持っていない選手は、ドリブルをすることを知っているので、動かなくなるんです。

パスをもらいに行っても来ないので、後ろについていってこぼれ球を拾うぐらいです。そうならないためにも、その段階になったら、『ダイレクトでボールを動かす』というルールのゲームを必ず入れています。

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