考える力

2013年8月 4日

強度の高いトレーニングが『生きた技術』を磨く

 
一昨年に発売し、大きな反響を呼んだ『知のサッカー第1巻』。少年団からプロチームまで、様々なカテゴリーの指導者から、「参考になった」「チームのトレーニングに取り入れたい」などの感想が寄せられました。
知のサッカー』を活用中のチームに伺い、導入内容や効果について聞く『知のサッカーを巡る旅』。二回目は神奈川県横浜市緑区で活動中のフットサルスクール『エスタジオ横浜』のスクールマスターを務める、神保慶太コーチにお話をうかがいました。その後編をお届けします。
 
▼前編の記事はこちら
ピッチ全体を観てゲームを読む。選手の『洞察力』を高める三原則>>
 
 

■コンフェデ杯で感じた日本とブラジルの差

FCバルセロナのコーチやサッカーサービスに薫陶を受け、『洞察力を磨く』ことを重視して指導をしている神保慶太コーチ。小学校低学年から状況判断のともなったトレーニング(『攻撃方向のある3対3+4フリーマン』等)を取り入れることで、選手たちは周囲や状況を観て判断し、試合の中で使える実践的な技術を高めることにチャレンジしています。高学年の部(上級クラス)では、スピードとパワーが増し、高い強度の中でトレーニングが行われています。少しでも状況判断のスピードやボールに対する寄せ、攻守の切り替えが遅れる場面になると、神保コーチの指示が飛んでいました。
 
「プレスのスピードを上げること、攻守の切り替えを速くすることは、毎回言っています。ボールを持ったときの個の力が弱い選手がいるとしたら、それは普段のトレーニングにおいて、ボールホルダーに対する寄せが甘かったり、攻守の切り替えが遅いところに原因があると思います。コンフェデレーションズカップで日本と対戦したブラジルはプレスもきついし、攻守の切り替えも速い。彼らは子どもの頃から、それが当たり前としてプレーしている。その中で戦っているから、生きた技術が磨かれるのではないかと思っているんです」
 
速いプレスや切り替えの中で、どうプレーするか。それを日々意識してトレーニングするのと、漠然とプレーするのとでは、月日が経つにつれて、違いとなって現れるのはあきらかです。
 
 
「練習においては、僕が選手たちに『こう動け』と教えこんでロボットにするのではなく、まずは環境を作ることが大切だと思っています。すべてを教えられるだけになってしまっては、子どもたちも嫌になってしまいますよね。そう考えると、僕の役割はピッチ内外の環境を整えることだと思うんです。プレスが速ければ自然と判断も速くなるし、サポートのスピードも上げないといけない。そのような、良い循環の中でプレーできるように意識しています」
 
神保コーチは「環境づくりと意識作りが一番難しい」と言う一方で、「年々手応えを感じています」と話します。
 
 

■実戦で戦える力を身につけて欲しい

「心技体すべてがそろっているのがいい選手で、何か一つこれだけをやっていればいいというのはないんですよね。メンタルの部分もすごく大事で、昨日よりうまくなろうと思っている選手、ここは戦いの場なんだと思ってプレーする選手を育てたい。その意味でも強度は求めていますし、その中で、実戦で使える生きた技術を身につけてほしい。強度が低いといくら練習をしても意味がないので、そこは注意深く指導しています。選手たちの意識を上げることができれば、トレーニングの質も高まってくるんですよね」
 
神保コーチによると、「欧州チャンピオンズリーグに出場するレベルの選手は、(サッカーサービスが提唱する)認知・判断・実行のプロセスを0.2秒で行う」そうです。
 
 
「実戦を通して洞察力を磨くことは、常にテーマとして持っています。指導者として携わらせてもらった子どもたちが、将来的には欧州チャンピオンズリーグに出場するレベルの選手になれるように、小学校低学年から洞察力と技術を中心に、すべての要素を磨いていきたいと思っています。トップレベルの選手に近づいていくためにも、小学生のうちからやっていくことが大切だと思っています」
 
自身もサッカー、フットサルを高いレベルでプレーし、国内外の指導を学ぶ神保コーチは、FCバルセロナやサッカーサービスから学んだこと、自分の選手時代、指導者としての経験を通じて、オリジナルの指導を確立したい」とビジョンを語ります。エスタジオのスクール生には、日本で行われた海外クラブのキャンプに参加し、MVPに選ばれて海外でプレーするチャンスを得た選手もいます。
 
「個人的には、12歳までに海外経験を積ませたいと思っていますし、うちのスクール生にはスペインやオランダのクラブに、スクールのMVPや大会優秀選手に選ばれて、招待された選手もいます。サッカーはワールドワイドなスポーツなので、子供の頃から世界を意識してほしいし、私としても世界で通用する選手になってほしいという願いがあります」
 
地域の優秀な選手が集まり、切磋琢磨する環境ができているエスタジオ横浜フットサルスクール。住宅街の一角にあるグラウンドの中から、世界に羽ばたいていく選手が生まれる可能性も、十分にあるのではないでしょうか。
 
▼前編の記事はこちら
 
 
神保 慶太//
湘南ベルマーレで活躍した元Fリーガー。指導者として神奈川県U-12フットサル選抜監督などを歴任。現在はフットサルスクール『エスタジオ横浜』のスクールマスターを務める。
 
エスタジオ横浜公式ホームページ>>
 


【知のサッカー第1巻】6歳~12歳までの“頭の成長”に応じたトレーニングを学ぶ

FCバルセロナの選手や世界のトッププロをサポートしてきたスペインの世界的プロ育成集団「サッカーサービス社」が監修した小学生年代の指導者向けDVD。すでに2500名以上の指導者が学んでいる大ヒット教材。6~12歳までの“頭の成長”に応じた段階的なトレーニングで選手の認知、判断を鍛える。
 
 
 
 

【知のサッカー第2巻】サッカー選手が、13歳までに覚えておきたい32のプレーコンセプト

「サッカーサービス社」が監修した選手自身が見て学べるU-13世代の選手向け教材。彼らが分析した「Jリーグ」の試合映像をもとに、攻守の個人戦術からグループ戦術まで、選手のサッカーインテリジェンスを磨く32のプレーコンセプトを解説。
※限定2,000名の豪華特典など要チェックの内容です。
 
 
 
1

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ