考える力

2014年7月28日

子どもを固める教え方では、ネイマールは育たない

■メンタル面からの間接的アプローチとは?

実際の現場では、メンタル面からアプローチするのがいいと思います。なぜなら、脊椎云々の難しい話は、我々のような専門家でないと、正確に伝えることが難しいからです。サッカーを楽しめるトレーニングプログラムを用意して、メンタル面から働きかけるのが良いでしょう。
 
具体的なアプローチ方法は、間接的に働きかけることです。例えば、「首を緩めましょう」と言っても、言われた側は固まります。なぜなら、意識が一部に偏ってしまうからです。人間の動きとは全体で構成されるものです。「首を緩めましょう」では、首には意識がいくかもしれませんが、他の部分は上手く働けていないことが多く、結果、固まってしまうのです。
 
では、どのように改善すればいいのでしょうか? たとえば、前回の記事『ねこ背でもいい!? 子どもにとって自然な姿勢とは』の「緑色のものはありますか」です。これは直接「首を緩めなさい」とは言っていませんが、結果的に首の緊張を解く声かけになっています。そして、この声かけのパターンはいくらでも工夫できます。「頭の上にカラス飛んでるけど」などでもいいのです。
 
問題点は比較的見つけやすいと思います。しかし、その改善のために直接的なアプローチをしてしまうと、かえって意識が集中して固まってしまいます。だから問題の改善には間接的なアプローチが有効なのです。
 
もちろん、固まらない練習メニューを組み、声かけをするのが一番です。しかし、それでも固まってしまう場合は、間接的な声かけをして、意識を広げてあげましょう。
 
 
高椋浩史
大学時代は筑波大学蹴球部に所属。毎週少年サッカーの指導を行う中で、選手が伸び伸びと自分の力を発揮するためにはどのような指導をすればよいかということを探求し始める。卒業後は一般企業に就職するが、好きなサッカーに関わっていきたいという思いから退社し、筑波大学大学院に入学しサッカーコーチ学を学ぶ。日本サッカー協会の指導者養成コースの補助員を行い、日本のトップコーチ陣の指導を間近で見て学ぶ。2001年から2年間、青年海外協力隊員としてバングラデシュへ赴任。サッカーを指導する。そこで出会った人たち、特に肉体労働をしている人たちの身のこなしの美しさや強さ、精神的なたくましさ、人間的な器の大きさなどに衝撃を受ける。探求をしていたカラダの使い方のお手本のような人達をみて、自分もカラダの使い方を教えることができるようになりたいと思い、様々な身体鍛錬法やメソッドを学んだなかで最後に出会ったのがアレクサンダー・テクニークであった。2006年からはBODYCHANCE教師養成コースで学び始め、2010年に認定を受け教え始める。2012年11月に吉祥寺にアレクサンダー・テクニーク教室FUN!を設立、現在に至る。
 
スポーツが上手くなる姿勢レッスン/COZY アレクサンダー・テクニーク
前へ 1  2

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ