考える力

2014年9月10日

その情熱、子どもに届いてますか? イングランドサッカー協会の指摘とは

 

■その言動、子どもはどう思う?

ジョーはこの場面を後から回想しつつ、悲しげな表情でこうつぶやきます(上記動画6:35~)。「試合が終わった時、その場から駆け出して逃げてしまいたかった。すごくみじめだった。お父さんはいつもアドバイスをくれるけれど、ぼくは試合を楽しめたらそれでいいんだ。このクラブを離れたり、友達とバラバラになるのは嫌だ。ぼくはサッカーが好きだけれど、お父さんほどじゃない」
 
「試合中、他の人たちは黙って見守ってくれていたのに、自分のお父さんだけ声を荒げていた。だから周りの人がみんな僕のお父さんの顔をうかがっていて、すごく恥ずかしかった。お父さんはサッカー選手だったから、サッカーのことをよくわかっているんだと思う。だけど僕らの関係はうまくいっていない」
 
こうした状況を、イングランドにおける選手育成の第一人者はどのように見ているのでしょうか。下記のふたりのコメントは、子どもとの関わり方を考え直す上での大きなヒントになるかもしれません。
 
マーフィン・ロバーツ氏(心理コンサルタント
「子どもへの接し方は、中高生以上の選手とは状況が大きく異なることを認識することが重要です。この親の場合、勝利や順位を意識した、中高生向けのアプローチになってしまっています。小学生の年代では、サッカーを楽しむことが重要です。子どもたちが得られる楽しさをより大きなものにしていくということが大切です」
 
トレバー・ブルッキング卿(イングランドサッカー協会選手育成元責任者
「面倒見がいい父親なのでしょうが、高圧的な態度は見直すべきです。『これはビッグマッチだから』などというようなあおり方をするのではなく、ポジティブな気持ちでサッカーを楽しむことを目的としていくべきです。基礎的な能力が無い中で目標を設定してしまうのではなく、サッカー楽しみながら選手個人の潜在的な能力を最大化していくことが大切なのです」
 
前へ 1  2

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ