考える力
2014年9月29日
周りの声に動揺しないレフェリーになれる3つのキーワード
前回記事『あなたはレフェリーを積極的に楽しめていますか?』で、積極的にレフェリーをするためにはポジティブでいることが不可欠だと説いてくれた松崎康弘さん。では、ピッチの周囲や選手、コーチから文句を言われることも少なくない育成年代のレフェリーは、実際にどのようにふるまえばポジティブにレフェリングできるのでしょうか。前回に引き続き、松崎さんに話をうかがってきました。
取材・文 石井紘人(@FBRJ_JP)
■レフェリングに大事な『コミュニケーション』
―イングランドで何試合かレフェリーを務めた家本政明(国際審判員)さんは、「判定は日本のレフェリーの方が上だと思いますけど、コミュニケーション能力はイングランドの方が数段上にいる」とおっしゃられていました。松崎さんの目から見て、育成年代でも、日本とイングランドのレフェリーに違いはあるのでしょうか?
はい。イングランドは、育成年代のレフェリーも凄くコミュニケーションをとります。育成年代になると、教育的な要素もあるかもしれません。日本だと、コミュニケーションをとるレフェリーは少数のように感じます。それから、日本のレフェリーは真面目です。この間も話をしたのですが、飲水タイムがありますよね? 飲水タイムは、監督が選手に指示をする場ではないですけど、結果的に指示をする格好になってしまう。ただ、本来は水を飲むための時間ですからと言って、少しであっても指示をするコーチを遮るレフェリーをみかけます。あえて指示するために、ベンチに集めているのであれば、注意するべきかもしれませんが、飲んでいる選手にコーチが指示をするくらいならば止めなくてもいいのでは、と思います。試合中にも、コーチと選手はコミュニケーションをとるのですから。これはひとつの例ですが、レフェリーが頭を柔らかくして考えたり、(遮るのではなく)コミュニケーションを取ることも『ポジティブ・レフェリング』です。
―それと別の課題として、日本の場合、指導者であるコーチが“仕方なく”レフェリーをすることも多い。そうではなく、積極的にレフェリーをするためには、どうするべきでしょうか?
コーチは普段から子どもたちと一緒に練習している訳じゃないですか。これは個人的な意見ですが、練習試合であれば、レフェリーをしながらコーチしても良いと思うんです。それは、ルールを教えることにも繋がります。選手だって、ルールを知らないより知っている方が得です。
■やってはいけない『串刺し』
イラスト 小池アミイゴ
―先日行われた日本代表×ベネズエラ戦であれば、水本(裕貴)選手がペナルティーエリアで相手を引っ掛けてしまい、ペナルティーキックとなってしまいましたが、レフェリー目線ならば「そこはチャレンジするな」と教えてあげることができるはずです。では、そのファウルかファウルではないかを見極めるレフェリーの技術的な話をお伺いします。まず、「レフェリーは角度をつける。串刺しにならない」について。
審判員から見て、ボールを持っている選手と、それを奪おうとする選手が串刺しになっていると、選手同士の距離感が分からないし、足を出している方向も分かり辛い。角度をつければ、それが分かるようになり、(接触の)強さも分かるようになる。この見方は基本です。