考える力
2014年10月15日
サッカー指導の伝道師が提言!2歳からできる室内練習法とは
みなさんはトム・バイヤーをご存じでしょうか。20年以上に渡って日本のサッカー少年の育成に携わるサッカー指導の伝道師です。トムが日本全国をまわったサッカー教室は、幼き日の香川真司や宮間あや等が参加していたことでも知られています。いまやその指導は、中国やインドネシアなどアジア全域に及びます。現在はふたりのサッカー少年(長男8歳、次男5歳)の父親でもあるトムに、家の中でできるサッカー少年の育成法を教えてもらいましょう。
聞き手・上野直彦 写真 Elena_Wu
■家のなかでボールをコントロールする技術を身につけよう
――トムが最近提唱している6歳以下のサッカー少年の育成法を教えてもらえますか?
日本サッカー界では、U—6(6歳以下)というカテゴリーはトレーニングができる年代と認識されていません。ところが、自分の息子(8歳と5歳)をつかってリサーチしてみたところ、その年代でも教え方によってテクニックを習得できることが分かりました。フットボールカントリー(ブラジル、スペイン、フランス、ウルグアイなど、サッカー文化が根付いている国)では子どもたちは歩けるようになった段階から、サッカーをする生活環境にあります。幼い頃から自然にボールと戯れ、テクニックが磨かれていく。その環境がノンフットボールカントリーとの大きな違いになります。そういった意味で2歳ころから6歳の子どもにテクニックを教えるのは今後重要な課題になります。
家のなかや公園の片隅などの狭いスペースで、ボールを蹴るのではなくマニピュレ―ション(操る)あるいはコントロールする練習をします。
――トムの子どもは、華麗なボールタッチとコントロールを身につけています。どういうトレーニングを行っているのでしょうか?
長男が1歳のときに、家のなかでサイン用の小さなボールを与えたらどう扱うのだろう、と疑問に思いました。そこで、ひとつの部屋に3つ4つ、家のいたる所にボールを置いてみました。単純にキックさせるだけでなく、ボールをコントロールする感覚を得るためです。その成果にぼくは驚きました。ボールマニプレーションやボールコントロールの練習は、育成年代においてすごく大事なことです。
――なぜ、ボールをコントロールする技術を身につけることが大事なのでしょうか?
日本のU—6の試合を見たことがあるのですが、そのすべてがボールをバンバン蹴るだけでした。これはプレーする子どもたちにとって、大きな損失です。なぜ、蹴るだけになるかというと、それは子どもにゲームやボールをコントロールすることを教えていないからです。日本のどこの公園に行っても同じ光景を目にします。親子がまるでキャッチボールのように、ただただボールを蹴っています。ボールを操る方法を覚えないとサッカー選手としての成長はありません。ラテン系の国では幼いころからストリートサッカーで何時間もボールに触り、そういった感覚が養われていく。子どもたちがどれだけ長い時間ボールに触れ、サッカー(ボール遊び)を好きになるかが大切です。
――6歳以上の子どもも、家の中でトレーニングすることでボールコントロールは向上しますか?
「7歳以上の子どもでも、この方法でテクニックを上達させることはできます。ネイマールやメッシなど、現在のスタープレイヤーの多くが、最初からサッカーを教えられたわけではなく、自分たちがボールと遊びながらスキルを身につけています。大事なことは自分で考えてボールに触ることを、親がうながすことです」