考える力
2015年2月10日
子どもの「別に...」を防ぐ!紙に書くことで考える力が身につく
子どもに質問したとき、「別に...」と返されたことはありませんか? こちらが一所懸命に考えて導き出した質問を、「別に...」のひと言で返されたら、我が子とはいえ、ふつふつと怒りが湧いてくることも...。でも、じつはこの「別に...」という反応には、理由があります。しっかりと考え答えてもらうためにはどうすればいいのでしょう。昨年、しつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんを講師に招き行った『サカイクワークショップ』に、ひとつの答えがありました。(取材・文 神誠)
■書くことは考える練習
あいにくの雨模様、平日20時からの開催にもかかわらず、関東近県から10名の参加者にお集まりいただいた第1回「しつもんお悩み相談室」。5人ずつ2つのグループに分かれてのワークショップ形式に、みなさん最初は緊張の面持ちでしたが、講師の藤代圭一さんが穏やかな口調でリードしていくにつれ、会場にリラックスした雰囲気が漂い始めます。
「最初の質問に答えていただいたところで、もう1枚ワークシートをお配りします。そこに、みなさんが今『これを解決したい』『こんな悩みがある』『こんなことが不安だ』、あるいは『これを実現したい』と思っていることを、一つのマスに一つ書いていただけますか。そのとき、ぜひ質問形式で書いてみてください。質問形式とは、最後に"?"をつけるだけです」
「質問形式にすることで考えるスイッチが入る」と話す藤代さん。たとえば「子どもたちが全然やる気がないこと」が目下の悩みだとすれば、「子どもたちをやる気にするにはどうしたらいいんだろう?」と書いてみる――。なるほど、ちょっと考えてみよう、答えてみようという意識が働くような気がします。自分でも例にならって質問形式で書き出してみると、頭の中でモヤモヤしていたことがとてもスッキリしました。その様子をしばらくうかがっていた藤代さんが、つづけてグループでの伝え合いを促します。
「まずはお名前と、お子さんの学年・年齢もしくは指導されている年代、それをふまえたうえで質問の答えを教えてください。発表を聞く人は質問のルールにならって、『そうだよね!』と受け止めていただければと思います。今日は他の人の答えを聞いたら小さく拍手をしましょう。そんな流れで、グループごとに伝え合いをしていただきたいと思います」
...というわけで、私の番です。うちの息子は今年で3歳。サッカーに興味をもってもらえるように1歳の誕生日からボールを与えて仕込み始め、いまのところ「(おおきくなったら?)さっかーせんしゅ!」「(ポジションは?)ぼらんち!」と言えるようになりました(笑)。そんな息子ですが、もちろん悩みがないわけではありません。たとえば...
・相手によって態度を変えるのはどうしたらいいのだろう?
・同じ失敗を繰り返すのはどうしたらいいのだろう?
・勝ちにこだわりすぎるのはどうしたらいいのだろう?
などなど。特に勝ちにこだわりすぎるところは、まわりから「うらやましい」とも言われるのですが、かけっこで友だちに抜かされると「もうらやらない!」と止まってしまったりするのはいただけません。これにはグループの方からも「そうだよね~」と同意いただき、「年長ぐらいになればだいぶよくなりますよ~」と励ましの言葉をいただいてちょっぴり安心しました。伝え合いがひと段落したところで、藤代さんがワークの意図を解説します。
「今日はサカイクのワークショップですので、"子どもたちが自ら考えるためにはどうしたらいいのか"というテーマを念頭に、みなさんにも一緒に<考える練習>をしていただきたいと思います。そのときの1つめのポイントがこれ、頭の中を整理して書き出してみるということです。
子どもたちも、いきなり『最近楽しいことなにかあった?』って聞いても、『うーん、別に』って言います。でも、『じゃあ紙に書いてみようか』と声をかけると、書き出す子が出てくるわけです。つまり、すぐに答えなきゃいけないと思うと、子どもたちはプレッシャーを感じて『別に...』となる。
そういうとき、書き出す時間を作ってみてください。もしかしたらみなさんも、頭で漠然と思っていた『解決したいこと』が、紙に書くことによって整理できたかもしれません。こんなふうに書き出してみることが、考える練習の1つめのポイントです」