考える力
2015年3月20日
すぐに実践できる!ポジショニング4つの極意
サッカーサービスのポールコーチが『知のサッカー第2巻』について解説する講習会。後編のテーマは「ゾーンにおけるポジショニング」です。ここでは主にディフェンス時のポジショニングについて説明をしていきます。Jリーガーであっても、日本代表選手であっても、ゾーンディフェンス時に誤ったポジションをとる場面が見受けられます。一瞬の判断ミスが失点に直結するゴール前での守備は、少しのほころびも許されません。常に「認知」「判断」を繰り返し、マークのズレはないか?相手にスペースを与えてはいないか?を考えながらプレーすることが重要になります。
サッカーサービスが提唱する「ゾーンにおけるポジショニング」のポイントは次の4つです。
(A)守備を行うゾーンを認識する(B)ディフェンスラインを再構築する(C)味方選手との距離を調節する(D)前後のラインに対してダイアゴナル(斜め)にポジションをとる
ポールコーチが順を追って説明します。まずは「(A)守備を行うゾーンを認識する」についてです。
「試合中、選手は『どのスペースを守らなければいけないか』を把握する必要があります。それが、前提となるゾーンディフェンスの考え方です」(ポールコーチ)
ゾーンディフェンスにおいては『スペースを守る』という考え方がポイントなのですが、試合中、選手の周りにはたくさんのスペースが生まれては消えていきます。はたして、どのスペースを守ればいいのでしょうか?
「どのスペースを優先して守るかというと、自分が受け持つゾーンのうち、後方内側のスペースです。自分の体を中心に四角形を作ったときに、斜め後ろのゴール寄りのスペースを守ります。なぜなら、このスペースを突破されると、相手をゴールに近づけることになるからです」(ポールコーチ)
※自分の守備ゾーンに入ってきた選手を見ていなかった例(この後シュートを打たれてしまいます)
今年1月のアジアカップUAE戦では、日本代表のセンターバック森重真人選手が「後方内側」のスペースを突かれたことにより、失点してしまいました。相手がスピードに優れた選手の場合、ゴール前で後方内側のスペースに進入を許すと、失点に直結してしまいます。これはジュニア年代から意識しておきたいコンセプトです。
続いて、「(B)ディフェンスラインを再構築する」プレーです。これもDFにとっては身につけなくてはいけないコンセプトです。ポールコーチが説明します。
「センターバックが前方へ飛び出して、ボールに対してプレーするとき、近くにいる選手(サイドバックやボランチ)がディフェンスラインに入り、センターバックが飛び出してできたスペースを埋めなくてはいけません。守備の時は常にそれを気にかけて、ラインが壊れたらすぐに動き出すこと。また、センターバックがラインから離れてプレーしたときは、必ずボールに触ること。もしくはプレーを切ること。なぜなら、センターバックがラインを崩して前に出てかわされてしまった場合、ゴール前で数的不利の場面が生まれてしまうからです」
※センターバックが前に出てできたスペースをボランチがサポートした例
センターバックはラインから飛び出してプレーをしたら、全速力でもといた位置に戻ること。ボールを深追いしすぎるのではなく、行くところと戻るところの判断とスピードが必要です。これは元スペイン代表キャプテン、プジョルが得意としたプレーです。
続いて「(C)味方選手との距離を調節する」です。
「センターバックが前に出てボールに対して寄せに行き、ボランチが最終ラインに下がらなかったとします。そのときは、最終ラインにいる3人(両サイドバックとセンターバック)が中央により、内側の縦のスペースを守ります。これは「(B)ディフェンスラインを再構築する」と連動したコンセプトです。最終ラインの人数が足りなくなったとしても、ゴール前の中央内側のスペースは死守します」(ポールコーチ)
最後のコンセプトは「(D)前後のラインに対してダイアゴナル(斜め)にポジションをとる」です。これは攻撃時のコンセプトです。最終ラインで味方のセンターバックがボールを持っているとき、中盤、前線でボールを受ける選手は、ボール保持者(この場合はセンターバック)に対して、斜めのポジションをとります。
「ボールに対して斜めのポジションをとることで、多くの視野が確保でき、次のプレーに移ることが容易になります。ここでボールに対して正面、または真横のポジションにつくと、相手選手はそのコースを切れば良いことになるので、判断に対して迷うことがありません。攻撃時にボール保持者から見て、三角形もしくはダイヤの形で選手がポジションをとっていると、ボールを動かしながら前進しやすくなります」
※自分の前後の選手に対してダイアゴナルなポジションがとれている例
※自分の前後の選手に対して上手くダイアゴナルなポジションがとれていない例
講習会では、どのようなトレーニングを通じて、これらのコンセプトを身につけるかという説明がありました。トレーニングメニューは『知のサッカー第2巻』に収録されているので、詳細はそちらをご覧頂くとして、ポールコーチはトレーニングを組み立てるときのポイントについて、参加者のみなさんにアドバイスをしていました。
「様々なルールを設定することで、トレーニングで習得してほしい現象が起きやすいようにします。大切なのは、目の前の選手に何が必要で、そのためにどのようなトレーニング、声掛けをするかです。ただ練習メニューをコピーし、同じようにやったとしてもうまくいかないことがあります。選手の年齢やレベルを見て、それに合ったトレーニングをすることを意識してみてください」
ただボールを蹴る練習をするのではなく、見て学び、考えながら練習をする。それこそが、上達の秘訣なのでしょう。ポールコーチの講習会は、今後も継続的に開催予定です。選手たちのレベルアップのため、そして指導者の方自身のレベルアップのために、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
※良いプレー・改善の余地のあるプレー画像は、すべて『知のサッカー第2巻』より
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